(※写真はイメージです/PIXTA)

生前贈与が「相続税対策」になる、と聞いたことはあるでしょうか。令和4年度の税制改正大綱から、近い将来、相続税と贈与税は一体化されることが予想されます。生前贈与のほうがお得なら、今の内にしっかりおこなっておきたいところです。そこでこの記事では、生前贈与に用いる「非課税枠」、相続税と贈与税の実効税率の違い、そして「生前贈与と相続はどちらのほうが得なの?」という質問への答えをみていきましょう。

あなたにオススメのセミナー

    「相続税と贈与税」それぞれの実効税率

    相続税は、亡くなった人が死亡時に所有していた資産等を、相続や遺贈(以下、相続等)によって取得した人に課税される税金です(相続税法第一条の三)。相続が発生し、基礎控除額を超えた際に納めることになります。

     

    相続税の基礎控除額の計算式は以下の通りです。

     

    3,000万円+600万円×法定相続人の数

     

    贈与税は、個人から財産を贈与されたときにかかる税金です。課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類が存在します。生前贈与をし、基礎控除額を超えた際に納めることになります。

     

    暦年課税制度は、年間110万円を基礎控除額とし、それを超えた額に贈与税が課税される制度です。1月1日から12月31日までの1年間で、贈与によりもらった財産の価額が110万円以内であれば、贈与税がかからないことを利用した相続税対策が可能となるかもしれません。

     

    一方、相続時精算課税制度は、「年間」といった区切りはなく、受贈総額が2,500万円までであれば贈与税が非課税になるという制度です。

     

     

    非課税枠を使って生前に贈与をしていけば、相続時に課税額が減ってお得でありそうだ、という印象を受けられるのではないでしょうか。暦年課税も3人で10年間おこなえば、110(万円)×3(人)×10(年)=3300(万円)になり、大幅に相続財産を減らすことになります。

     

    さて、そこで気になるのは両者それぞれの税率です。

     

    どちらも資産の再分配を目的とした累進課税制度であるため、20%、30%、と単純に決められているものではありません。早見表とともに、どちらのほうが高いのか確認していきましょう。

     

    まずは遺産総額にあわせた相続税の税率と課税額の早見表です(相続税、いくらからかかる?「基礎控除」「税率の計算方法」から対策まで|税理士が解説より)。

     

    ※法定相続分で分割した場合の「法定相続人(子供)全員に対して課税される相続税額」 ※配偶者には「配偶者の税額軽減」を最大限適用 ※千円以下や小数点第二位以下は四捨五入
    配偶者ありの場合(一次相続) ※法定相続分で分割した場合の「法定相続人(子供)全員に対して課税される相続税額」
    ※配偶者には「配偶者の税額軽減」を最大限適用
    ※千円以下や小数点第二位以下は四捨五入

     

    ※法定相続分で分割した場合の「法定相続人(子供)全員に対して課税される相続税額」 ※千円以下や小数点第二位以下は四捨五入
    配偶者なしの場合(二次相続) ※法定相続分で分割した場合の「法定相続人(子供)全員に対して課税される相続税額」
    ※千円以下や小数点第二位以下は四捨五入

     

    相続税の基礎控除は、相続人が子供1人の場合であっても3,600万円であり、3,600万円までは相続税がかかることはありません。

     

    続いて、贈与税の実効税率を確認します。

     

    特例贈与(直系尊属から20歳以上の子や孫への贈与)とそれ以外の一般贈与で税率が変わります。

     

     

    当然、贈与税のほうが税率が高くなります。相続税のほうが税率が高いとしたら、多くの方が相続税を避けて生前に贈与をしてしまうためです。比べてみると、相続税の実効税率は想像されるよりは高くないかもしれません。

    「生前贈与と相続どちらが得?」という質問の答えは…

    しかしもちろん、非課税枠をうまく使えれば、生前贈与は相続税対策に有効です。

     

    生前贈与が相続「よりも」お得ということはありませんが、生前贈与を使うことで使わないよりも相続「を」お得にできるといえるでしょう。

     

    しかし、すぐにとは言わずとも、近い将来、相続税と贈与税に係る税制改正がおこなわれる可能性が濃厚です。税制改正大綱には、一体化を本格的に検討することが明記されています。生前贈与は、できるだけ早いうちからおこないたいものです。

     

    とはいっても、“贈与税の非課税枠は、ここ数年の税制改正によって適用要件が見直され、贈与者死亡時の残額は相続財産として計上する等、年々対応が厳しくなっています。

     

    また、生前贈与の各種特例を使用するにも、安易に適用してしまうと、逆に相続税負担が増えてしまうケースもあります。

     

    生前贈与をお考えの方は、相続税に強い税理士に相談を行い、相続発生時のシミュレーションを行った上で、最適な生前贈与を選択されることが大切です。”(相続税、いくらからかかる?「基礎控除」「税率の計算方法」から対策まで|税理士が解説より)。

     

     

    【関連記事】生前贈与、現金手渡しでも「申告漏れ・無申告」はばれるのか?

     

    \「税務調査」関連セミナー/
    相続税申告後、約1割の人が「税務調査」を経験?!
    “申告漏れ”を指摘されないためのポイント>>11/19開催

     

    富裕層だけが知っている資産防衛術のトレンドをお届け!
    >>カメハメハ倶楽部<<

     

    カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

     

    【12/10開催】
    相続税の「税務調査」の実態と対処方法
    ―税務調査を録音することはできるか?

     

    【12/10開催】
    不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
    相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは

     

    【12/11開催】
    家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
    “金利上昇局面”におけるアパートローンに
    ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討

     

    【12/12開催】
    <富裕層のファミリーガバナンス>
    相続対策としての財産管理と遺言書作成

     

    【12/17開催】
    中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
    ―「投資先としての中国」を改めて考える

     

     

    人気記事ランキング

    • デイリー
    • 週間
    • 月間

    メルマガ会員登録者の
    ご案内

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    メルマガ登録