
子どもを中高一貫校へと入学させた親からよく聞く悩みの一つが、「『分からない』と口にする子どもにどう接すればいい?」というもの。入試を乗り越えた子であっても学校での学習内容は難しく、容易にこなせるものではありません。子どもに「勉強が分からない」と言われた時、家庭ではどのように対処するとよいのでしょうか? 塾講師として30年間、中高一貫校に通う生徒の難関大学現役合格をサポートしてきた乾俊和氏が解説します。中高一貫校以外の学校に通わせている保護者にとっても参考になる内容です。
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「分からない」と言ってきた時の対処法
■「分からないこと」を「分からない」と言えるのが良好な親子関係
「勉強が難しい」「少し分からないところがある」と子どもが言っても、慌てず冷静に対応しましょう。
私立中高一貫校の学習内容は、質量ともにハイレベルです。中学入試を乗り越えてきたからと言って、簡単にこなせるものではありません。多くの生徒にとっては良い意味でも、悪い意味でも、負荷のかかるものです。しかしながら、このしんどさを活かして成長した子が大きな結果を残すのです。この点はスポーツと同じです。負荷を跳ね返すことで力をつけていくのです。楽な練習では強くなれないのです。
⇒「勉強が難しい」というのは当たり前
■子どもの「分からない」を受け止め、一緒に改善策を探す
「少し分からないところがある」と子どもが言った時には、「隠さずによく言ってくれた」と温かく受け止め、ともに改善策をさぐりましょう。学校の先生や塾・予備校の先生にもアドバイスを乞うのも有効です。
分からないことや「解けない問題」と出合った時、子どもの態度は大きく2つに分かれます。分からないことをストレスに感じ解決しようとするタイプと、「みんなも分かってないから大丈夫」と放置するタイプです。ストレスを感じる子は行動を起こします。そのストレスをなくすためにいろいろと調べたり、分かる人に質問をして解決しようとします。
放っておいても課題解決へ向けて自分から動き出すので安心です。自分で解決しようとする程度のストレスであれば、かえって成長の機会です。
問題なのは、「分からないこと」が気にならない子どもです。「どうせみんな分かっていない」「分からないからやっても無駄」などと言い訳を繰り返します。言い訳が習慣化する前に、親子で話し合ってください。
⇒子どもの「分からない」をしっかりと受けとめる
子どもを「部下」だと思って接する
■一方的に叱ったり放置したりせず、「一緒に課題解決を目指す」ことが重要
「分からないこと」が気にならない子どもを放置しても、状況は悪化するばかりです。子どもがこうした状況に陥った時は、少し距離を置いたうえで、アドバイスをしてみてはどうでしょうか。
子どもを「部下」と思って接することをお勧めします。上司が部下を叱りつけてばかりいても部下は成長しません。むしろ人間関係は悪化します。怒られることを避けるためにミスを隠したり、本音を言わなくなります。改善することは決してありません。逆に、部下の問題点を探りだし、一緒になって解決を目指せば部下は上司の技術を学ぶこともでき、信頼関係も深まります。
親からも子どもからも長きに亘って相談を受けてきた経験から言えるのは、教育ということに関しては、親と子の関係は、上司・部下の関係であることが一つの理想ということです。
■「上司」と「部下」の関係で、一緒に問題解決に取り組むためには…
①部下を認める…力で抑え込まない
②部下の話に耳を傾ける…自分の考えを先に言わない
③部下の置かれている状況を把握する…正論を振りかざさない
④部下の目標を共有する…無茶な目標を立てない
⑤部下自身が考えて解決策を見つけさせる…主体性を育てる
具体的な事例を挙げてみます。「リスニングが難しい」と子どもが口にすれば、リスニングの上達法を書店やネットで一緒になって探しましょう。その中から子どもに合うであろうものを選び、お互い余裕のある時に一緒に取り組みましょう。取り組んだ後には、親子で意見交換します。自分に合っているのか合っていないのか、合っているとしても改善点があるのかどうかなど、具体的に話し合ってください。
人生という舞台では、親自身がいろいろな苦労を乗り越えて成長した上司であり、子どもはその苦労をこれから乗り越えて成長していく部下であると思うことです。放置することなく、かといって感情的になるわけでもなく、子どもを一個人として見ることが、子どもにとっては親が頼りがいのある大人として映ります。
⇒子どもを一個人として見る
⇒上司として子どもと一緒に問題解決を図る
乾 俊和
株式会社ドゥクエスト 代表取締役社長
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