(※写真はイメージです/PIXTA)

わが子の成績が思わしくない…。そんな時、塾や予備校に行かせることを考える保護者の方もいるでしょう。しかし、塾講師として中高一貫校に通う生徒たちを指導する乾俊和氏は、「学校の成績が悪い時に塾・予備校に行けば、かえって成績が下がることのほうが多い」と指摘します。それでは、子どもの学校の成績を上げるにはどうすればよいのでしょうか? 大学受験を見据えた具体的な解決策を見ていきましょう。

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「成績が悪いから塾へ…」でさらに成績が下がるリスク

学校の成績が芳しくない時に、塾・予備校に行かせても問題は解決しません。むしろ塾・予備校に行けば、かえって成績が下がることのほうが多くあります。

 

■それでも通わせるのであれば「学校情報に詳しい塾や個別指導」を選択

中学受験を振り返ってください。小学校の成績を上げるために、進学塾に通わせる親はいません。小学校で良い成績を取るのと中学受験で成功するのとでは、考え方もやり方も全く異なります。学校の定期試験で成績を上げたいのか、大学受験に向けての成績を上げたいのかをまずは明確にしてください。ここがあやふやだと、望むような結果が得られません。

 

学校の成績を上げたいのであれば、学校のノウハウを持った塾や個別指導を選んでください。中高一貫校では独自のカリキュラムで学習を進めることが多く、各学校の特徴を知ったうえで、指導する必要があるからです。また、定期試験の過去問を持っている塾や個別指導が理想です。的確な指導には過去問は欠かせません。

 

成績が芳しくない最大の原因は「分かっていない」ではなく「できるまで演習していない」ことです。その意味でも、まめな先生、まめな塾・個別指導が最適です。

 

⇒学校の成績を上げるためには、学校のノウハウを持った塾・個別指導を選ぶ

⇒学校の成績を上げるためには、集団授業よりも個別指導や少人数指導が正解

 

■大手塾・予備校に行かせるのは「平均点が取れてから」

平均点が取れないうちに大学受験の勉強をしても空回りするだけです。学校の成績が芳しくない時に、大学受験の勉強をするのは、風邪をひいているのにハードな練習をしているのと同じです。学校の勉強がうまく回転して初めて、先取りの学習ができるのです。平均点を英語は超えていて、数学は超えていないならば、英語の塾・予備校はOKですが、数学は学校の成績アップを第一目標にして塾を選んでください。

 

⇒塾・予備校の勉強が学校の勉強時間を奪い取る

成績が悪い時は、親が「最大の理解者」になるべき

■「叱る」のではなく「一緒に改善策を考える」

成績が悪いからと言って、子どもを責めても何の解決にもなりません。勉強せずダラダラしている姿を見ると腹が立つ気持ちも分かります。しかしながら、そこで強い言葉を使ってしまうと、子どもは委縮するか、無言になるか、反発するしかありません。親からの叱責を恐れるあまり、テスト結果や成績表などを見せなくなります。こうした隠ぺいが習慣化すると、将来の大学受験にも影を落とすことになります。

 

良くない成績が返ってきた時は、子どもと一緒に改善策を考えるようにしましょう。親子だけでの改善が難しければ、学校の先生や塾の先生に相談してみましょう。子ども目線で行動することが、結局は問題解決の近道です。

 

⇒成績が悪いからと言って強い言葉で叱らない

 

■わが子が「塾に行きたくない、自分で勉強する」と言い出したら?

「自分でする」は子どもからのSOSです。成績が向上しない結果「勉強を自分でする」と言って塾や予備校をやめていった子どもが「本気で自分で努力して、結果を出した」のは見たり、聞いたりした記憶はありません。

 

考えてみれば当たり前の話で、その道のプロである塾や予備校の先生に助けを借りてできなかったことが、一人になったらできると考えるのは、無理があります。

 

「自分でする」と子どもが口にした時は、「勉強から逃げたい」「今は勉強したくない」と思っている時です。本気で勉強するつもりであれば、教えてもらったほうが効率が良いことは誰でも分かることです。もちろん大学受験直前になって勉強のスイッチが入った子どもが、時間効率や時間対効果を考えたうえで「自分でする」という場合は別です。そういった場合を除けば、「自分でする」は現実から逃避したい思いの表れです。その心理を分かったうえで、子どもと向き合う必要があります。

 

自分一人で解決できる問題よりも、自分一人では解決できない問題のほうが多いのが現実です。ネガティブな気分の時には、ネガティブな情報に目が行きがちです(気分一致効果)。そんな場合に貴重なアドバイスをくれるのがメンターの存在です。信頼できるメンターに相談してみてください。解決の糸口が見つかるはずです。

 

⇒「自分でする」の言葉の裏にある子どもの心を想像する

⇒苦しい時こそ自分でしない

わが子に「自分で勉強させる」と決めたら?

■まずは「自分でする」に適した学習内容を把握し、させてみる

「自分でする」「自分でさせる」と決めた場合は、「自分でする」に適した学習内容とそうでない内容を分かったうえで、させてみてください。塾・予備校に休学のシステムがあるのであれば、短期間(1ヵ月)休ませる手もあります。本当に自分でできるかどうかは、1~2週間程度、子どもの様子を見ていれば分かります。自分でできないと分かれば、傷が深くならないうちに復学しましょう。

 

⇒自分でできないと分かればすぐに手を打つ

 

■「自分でする」なら得意科目。苦手科目は自分でできない

得意科目や好きな科目を「自分でする」のは悪いことではありません。勉強も苦にならず、少々の障害や躓きも自分の力で乗り越えていくことができるからです。逆に苦手科目や嫌いな科目を勉強するのは心理的なハードルが高く、具体的な行動に移ることは困難で

す。

 

〈自分でできること〉

●暗記科目は自分でやろうと思えば自分でもできます。ただし効率良く点を取ろうと思う場合は、教えてもらったほうが良いでしょう。何が重要で、何が不要かなどは、受験生レベルでは判断できません。重要でないことまで覚えてかえって時間がかかる恐れがあります。時間効率を考えると得策ではありません。

 

●演習共通テストレベルや私立客観式問題であれば、解説の詳しいものがあれば、自分で

することは可能です。

 

●リスニングは自分でする以外にありません。毎週時間を決めて行ってください。「習う

よりも慣れろ」がリスニングでは重要です。

 

〈自分でできないこと〉

●数学や物理、化学など深い理解のいるものは、自分でするのには向いていません。時間をかけても分からないものは、一向に分かることはありません。教えてもらうのが効率的です。

 

●国語や英語などの記述問題は、一人ではできません。どこが合っていて、どこが間違っているか、どうしたら改善できるのかが分からないからです。経験のある人による丁寧な指導が必要です。模範解答と見比べるだけでは、何がどう違うのかは見えてきません。答案をもとに一つひとつ具体的に指摘することが上達の近道です。

 

 

 

乾 俊和

株式会社ドゥクエスト 代表取締役社長

 

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※本連載は、乾俊和氏の著書『具体的すぎる難関大学現役合格メソッド40』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

中高一貫校生徒の親が知っておくべき 具体的すぎる難関大学現役合格メソッド40

中高一貫校生徒の親が知っておくべき 具体的すぎる難関大学現役合格メソッド40

乾 俊和

幻冬舎メディアコンサルティング

勉強への意欲がアップする! 定期テストや模試の成績も上がる! 東大合格も夢じゃない! 塾講師として中高一貫校に通う子どもたちを約30年間サポートし、学校の最下位グループから東大理IIIや京大医学部に進学させた実績…

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