(※写真はイメージです/PIXTA)

チームパフォーマンスを高めるには、どうすればよいのでしょうか。チームパフォーマンスに関する研究を行う橋本竜也氏は、メンバーから主体的な行動を引き出す「心理要因」を数値化し、これらを高めるマネジメントを実践することが重要であると述べます。マネジメントの実践サイクルや、チームパフォーマンスを数値化する方法について具体的に見ていきましょう。

チームパフォーマンスの数値化・測定方法

チームパフォーマンスが「チームが実現すべき成果に影響を与えるメンバーの主体的行動の総和」だとすれば、主体的行動とは何かを決定し、その一つひとつを測定して合算すればチームパフォーマンスを測定できることになります。

 

主体的行動は「行動」ですから表に現れます。したがってこの8つの観点で、普段からメンバーの様子を観察していれば、チームパフォーマンスの状況をある程度把握することはできます。

 

しかしより定量的に評価するのであれば、アンケート調査が必要となります。例えば「自分の仕事にほかのメンバーの強みやノウハウを活かしていますか」といった質問を作成すれば、簡単な測定が可能です。参考までに、簡易的に主体的行動や心理要因の状態をスコアリングできる質問票を掲載します(図表2・3)。

 

 

[図表3]9つの心理要因

 

選択肢は4つです。8つの主体的行動については、「している」が4点、「少しはしている」が3点、「あまりしていない」が2点、「ほとんどしていない」が1点、9つの心理要因は「そう思う」が4点、「少しそう思う」が3点、「あまりそう思わない」が2点、「ほとんどそう思わない」が1点で計算します。項目ごとにメンバーの平均点を計算すれば、簡易的にチーム状態を把握できます。

 

私たちは8つの主体的行動および9つの心理要因のそれぞれについて3つずつの質問をし、その回答を基にそれぞれをスコアリングするパフォーマンス向上ツールを開発しました。質問はランダムに並んでいるので、回答者はどの質問がどの行動や心理要因に関する質問か分かりません。

 

質問内容は例えば「チームで業務改善に取り組むときには、貢献できる自信がある」といったもので、それぞれについて「まったくそう思わない」から「とてもそう思う」までの6つのなかから選択して回答します。早い人で5分、遅い人でも10分もあれば終了するアンケートで、結果はすぐにスコアリングされます。スコアは、リーダーが知るだけではなく、チーム全員同時にメールで送信されて共有されるようになっています。リーダーを含めて全員同時に結果が届くことでリーダーのための結果ではなく、自分たちの結果になります。

 

スコアだけでなくバラツキも考慮しています。同じスコアであってもチーム内でのバラツキが大きければ、その項目についてチーム内で温度差があると考えられるからです。そうであればスコアが高くてもチームパフォーマンスが高いとは言いきれません。

次ページまずはメンバーへのアンケートからスタート

※本連載は、橋本竜也氏の著書『チームパフォーマンスの科学』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

TEAM PERFORMANCE チームパフォーマンスの科学

TEAM PERFORMANCE チームパフォーマンスの科学

橋本 竜也

幻冬舎メディアコンサルティング

「科学的アプローチ」でチームパフォーマンスを客観的に評価する! 一人ひとりの社員は優秀なのに、チームパフォーマンスが上がらない…。そんな悩みを抱える管理職・リーダー層に向けた、待望の一冊。 マネジメントにお…

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