米ドル円の行方を左右する「米金利」…為替のプロが捉えた「上がりすぎ」のサイン

4/12~4/18の「FX投資戦略ポイント」

米ドル円の行方を左右する「米金利」…為替のプロが捉えた「上がりすぎ」のサイン
(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル円は、日米金利差拡大の影響により、125円に迫る動きをみせました。そのようななか、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は、足元で米ドル円を動かしている米金利について、さまざまなデータから「金利の上がりすぎ」を指摘します。では実際にどのようなデータが米金利の上がりすぎを示唆しているのか、また、「米金利上昇=米ドル高」の流れは今週も続くのか……吉田氏が考察します。

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    今週の米金利はインフレ関連指標に注目が集まる

    90日MAかい離率、5年MAかい離率といったデータを見る限り、米10年債利回りは短期的にも中長期的にも「上がりすぎ」懸念がかなり強くなっている可能性があります。それでも、米インフレ率が40年ぶりの高水準まで上昇するなかで、米金利はさらなる「上がりすぎ」拡大に向かう可能性もあるのか。

     

    米ドル/円は先週にかけて、基本的に米金利に連れる展開が続きました。その関係がこの先も続くなら、米ドル/円の行方は、これまで見てきた米金利の「上がりすぎ」がさらに続くか、それとも「行きすぎ」の修正により米金利が低下に向かう可能性もあるのかが鍵を握ると考えられます。

     

    今週は米3月CPI(消費者物価指数)や同PPI(生産者物価指数)など注目のインフレ指標の発表が予定されていますので、それらの結果を受けて、米金利「上がりすぎ」がさらに続くか、それとも修正に向かうことになるかが、米ドル/円の行方を決める可能性が高いのではないでしょうか。

    ボラティリティの上昇続く米ドル/円

    ところで、先週は米国株なども反落気味の展開が目立ちましたが、以前のように株安=リスクオフ局面では円高に反応するといった動きにはなりませんでした(図表6参照)。

     

    リスクオフ局面では、安全資産として円が買われるといった構図が、2月後半頃から目立って変化したことも、円安が最近にかけて急拡大した大きな要因だったと考えられます。

     

    以上からすると、米ドル/円の下落リスクは、あくまで米金利「上がりすぎ」の修正次第ということになるのではないでしょうか。
     

    出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
    [図表6]米ドル/円とNYダウ(2021年1月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

     

    ところで、先週の米ドル/円最大値幅は2.5円程度となり、3週間ぶりに3円を下回りました。それでも、2月までは、1週間の最大値幅は1.5円程度がせいぜいだったことを考えると、ボラティリティが上昇し、「よく動く」相場が続いているといえるでしょう。

     

    これまで見てきたように、米金利の「上がりすぎ」懸念が強まるなかで、さらなる上昇にもおのずと限度があるなら、その影響を受けやすい米ドル/円も3月末に記録した125円丁度の米ドル高値を大きく更新するのは難しいでしょう。

     

    そういったなかでも、最大値幅は2円以上に拡大するなら、今週の米ドル/円の予想レンジは123~125円中心といった感じになるのではないでしょうか。

     

     

    吉田恒

    マネックス証券

    チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

     

     

    ※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

     

     

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