燃料や穀物価格高騰の一方、安価で露から輸入か
ロシアとウクライナは、エネルギー等の鉱物資源や小麦等の穀物で、世界屈指の生産大国であるため、ロシアの侵攻が始まってからは一次産品価格が急騰している。
中国はトウモロコシ輸入の多くをウクライナに依存しているとみられるが、戦火でウクライナからの輸入が見込めないため、米国等の他国から調達を増やしている。
ロシアからも原油、天然ガス、小麦の輸入を拡大しており、中露の良好な関係を考慮すると、ロシアからは安価で資源や小麦を得ている可能性もあろう。
欧米による“警告”…経済制裁した場合の「損失」
3月11日にロシアが中国に武器供与などの軍事支援を要請していたと報じられ、14日に米国は「中国がロシアに軍事的・経済的援助を行う意思を示した」と発表した。同日に開催された米中高官による会談では、米国は中国に対し「ロシアのウクライナ侵攻を支援した場合『厳しい結果が待っている』」と警告したようだ。
中国は輸出依存度が19%(21年、以下同様)で、輸出の34%が日米欧を中心とした外国企業による輸出である。仮に、中国が欧米からロシアと同様の制裁を受け、外国企業が中国から撤退した場合、輸出の減少はGDPを7%押し下げる要因になるとみられる。
また、輸出全体の約4割が日米欧向けで、韓国や豪州等を加えると半分に迫る。このため、中国の製品に対し主要国が規制を課す場合、規制を課す国々の経済に対する損失も大きいが、中国への損失も少なくないとみられる。
米国は現在、一部中国企業に対し、米国製品の輸出、または米国製品で作った製品の輸出を禁じている。
中国半導体最大手のSMIC(中芯国際集成電路製造、香港00981)に対しては、先端技術の半導体を製造するのに必要な米国製品の輸出、再輸出、国内移送を原則不許可としている。米国は中国の半導体企業がロシアに半導体を輸出した場合、「閉鎖に追い込む」と警告。
半導体は、IoT(モノのインターネット)や電気自動車ばかりでなく家電やエンジン自動車にも利用されるため、米国から半導体や半導体製造に必要な製品やソフトの供給がすべて禁止された場合、中国で製造される家電、自動車等、広範な製品群の生産に影響するばかりでなく、将来の技術開発にも支障をもたらすと考えられる。