露宇両国と友好関係…中国の「得策」は
ロシアとウクライナの軍事力には大きな差があり、ウクライナの総兵力はロシアの4分の1以下、軍事費は10分の1に留まる。また、ロシアがジュネーブ条約で禁止されている燃料気化爆弾を既に使用していること等を考慮すると、ロシアは今後、大量破壊兵器を使う可能性も否定できず、ウクライナ問題は今後も混迷を続けよう。
中国はロシアとウクライナ両国と友好関係を結んでいるため、中国に停戦仲介を期待する声は高まっている。中国がウクライナ問題を停戦に導くことができた場合、中国の国際的地位は高まり、米国の中国に対する追加制裁も回避でき、習近平総書記は今秋に開催予定の共産党大会で今後も現在の地位を維持できよう。
しかし、仲介には多くの外交経験が必要と考える。中国のように発展途上国として、主に国内問題に注力してきた国には荷が重いように思われる。
実際、今回のウクライナ問題で、中国は事前にロシアによるウクライナ侵攻を知っていた可能性があるにもかかわらず、ロシアとの無制限の協力関係を発表し、侵攻が始まってもロシア批判を控え、むしろ対ロ制裁に踏み切った欧米を批判してきた。
その後、ウクライナ問題が長引き人的被害が拡大し、また、米国から対中制裁の圧力が高まるにつれ、中国はウクライナへの人道支援や欧米との協議を始め、スタンスを中立へと戻しつつあるようにみえる。
中国のライバルは米国である。中国の経済力が高まるに従い、両国の摩擦は更に高まろう。そのなかで、ロシアは米国から距離を置いており、中国にとって長期的なパートナーになりえよう。中国がロシアを重視することは必然かもしれない。
しかし、一方で、米国による追加制裁は、習氏の地位を危うくするだけでなく、中国の将来性を脅かしかねない。ウクライナ問題では中立を維持し「なにもしないこと」が中国にとって最も得策といえるかもしれない。
白岩 千幸
東洋証券株式会社 投資情報部
シニア・エコノミスト/ストラテジスト
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【12/10開催】
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【12/10開催】
不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは
【12/11開催】
家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンに
ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討
【12/12開催】
<富裕層のファミリーガバナンス>
相続対策としての財産管理と遺言書作成
【12/17開催】
中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
―「投資先としての中国」を改めて考える