(※写真はイメージです/PIXTA)

パンデミック後、小売りの現場は激変していきます。「旗艦店」という発想は意味がなくなり、すべての「店舗」での取り組みが重要になるといいます。どのように考えていくべきでしょうか。ダグ・スティーブンス氏が著書『小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」』(プレジデント社)で解説します。

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    実店舗のわずらわしさはなくなるか?

    ■実店舗内にクリックできる店舗を用意する

     

    パンデミック前の時点で、来店客が煩わしいと感じていたような要素は、パンデミック後には、ますます耐え難くなる。

     

    ロックダウン中にすっかり慣れてしまったオンラインの利便性に比べると、実店舗のスペースでは、いろいろな葛藤を覚えることも少なくない。商品について尋ねれば待たされる。サービスも待たされる。レジでも待たされる。要は何ごとも待たされるわけで、こんな店はやがて時代から取り残されざるを得ない。

     

    消費者にしてみれば、2020年より前には、デジタル世界と実世界を隔てる垣根があったかもしれないが、新型コロナウイルスという超弩ど級の隕石が激突して吹き飛んでしまった。売り場で商品を眺めながら携帯端末で情報や使用方法をチェックする機能はもちろん、ひょっとしたら店内でネット注文したりする機能まで、当たり前のように期待される日がすぐに来る。

     

    これは、サービス集約型ではないビジネスモデルの小売業者に特に当てはまる。アプリ上でオンラインのショッピングカートに商品を入れてから、実店舗を訪れ、さらに売り場で見た商品もカートに加え、購入商品をまるごと自宅に配送してもらう。こんな自由度が求められるようになるのだ。

     

    テクノロジーを駆使すれば、顧客を店舗に結びつけることはもちろん、体験全体を通じて顧客を追うことも可能だ。すると、顧客にとっては、体験全体の価値が高まるだけでなく、体験のさまざまな場面で顧客のデータを吸い上げ、コミュニケーションを図るチャネルを確保することも可能になる。

     

    顧客の動きや商品力、売り場づくりの効果、滞在時間に関してリアルタイムに入ってくる知見だけでも、十分に魅力的だろう。そうなれば、O2O(オンラインとオフラインをつなぐ顧客誘導)施策による顧客行動の情報は、どうでもよくなるかもしれない。

     

    誤解なきように付け加えておくと、無分別に店舗内を画面だらけ、IT設備だらけにしろと焚き付けているわけではない。顧客もスタッフも、「ここぞ」という場面でほしい情報や必要な情報にアクセスできるインターフェイスを用意してはどうかと言っているのだ。

     

    次ページ「旗艦店」ありきの発想は終わらせる理由

    ※本連載は、ダグ・スティーブンス氏の著書『小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

    小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」

    小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」

    ダグ・スティーブンス

    プレジデント社

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