(写真はイメージです/PIXTA)

自慢の孫が志望していた有名大学に合格……大喜びのAさんは、入学祝いに「教育資金の一括贈与の特例」を利用して、孫の入学金や学費を援助することにしました。その後、孫の就職も無事決まり、ホッと胸を撫で下ろしていたAさんでしたが、ある日孫から衝撃の電話が……岡野雄志税理士事務所の岡野雄志税理士が、「一括贈与特例」の特徴と活用に関する注意点について、事例を交えて解説します。

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    "特例"を利用せずとも非課税になる「都度贈与」

    「教育資金の一括贈与の特例」を利用しなくても、贈与税を課税されずに贈与する方法はあります。『「孫の教育資金を負担しすぎた老夫婦」口座残高を見て大後悔…』や『2023年に廃止決定の「ジュニアNISA」に注目が集まる意外なワケ』にも書きましたが、「都度贈与」という方法です。

     

    「都度贈与」とは、生活費や教育費が発生した都度、夫婦や親子、兄弟姉妹、祖父母と孫などの扶養義務者が、その費用を支払うための財産を付与することです。そもそも、生活や教育に必要な費用を身内が支払うのは、贈与とはみなされないということになります。

     

    もちろん、「都度贈与」にも注意点はあります。生活費や教育費として認められなければ、贈与税が課せられる場合もあります。生活費とは、治療費、養育費、育児費などを含む通常の日常生活に必要な費用のことです。教育費とは、学費や教材費、文具費などです。

     

    Aさんのお孫さんの事例のように、車購入に充てる費用は「都度贈与」と認められない可能性が高いでしょう。また、生活費や教育費として受け取ったのに、貯金してしまったり、不動産を購入するのに使ってしまったりすると、贈与税の課税対象となります。

     

    確かに、「教育資金の一括贈与の特例」は一度にまとまった金額を贈与するのに便利な制度です。ただし、1,500万円の限度額も、受贈者ひとりに対してであることを忘れてはいけません。父方・母方それぞれの祖父母から1,500万円受け取ってしまったら、1,500万円を超える額に贈与税が課されてしまいます。

     

    民法改正で、令和4(2022)年4月から成人年齢が18歳に引き下げられることになりました。まだ学生だとしても大人として扱われ、社会的な責任も生じます。いくつになっても可愛い孫とはいえ、成人後は贈与についてよく話し合うことも肝要かもしれません。

     

     

    岡野 雄志

    岡野雄志税理士事務所

     

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