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贈与した教育資金を「車代」に…認識不足が生んだ悲劇
今年もコロナ禍のなか、卒業・入学シーズンがやってきました。オンラインによる保護者の式典参列を実施する学校も増えているようです。動画や写真で送られてくる孫の晴れ姿に、目を細めていらっしゃる祖父母の方も多いのではないでしょうか。
新型コロナウイルス感染症が拡大する以前の事例になりますが、Aさんも自慢の孫が志望する有名大学に合格し、大喜びされていました。嬉しさのあまり、孫への入学祝いをなにか具体的な形で示したいと、Aさんは考えました。
そこで、Aさんは「教育資金の一括贈与の特例」を利用して、孫の入学金や学費を援助することを思いつきました。これは、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」によるもので、平成25年度税制改正により創設されました。
教育資金の一括贈与の特例
「教育資金の一括贈与の特例」は、令和3年度税制改正によって贈与者が死亡した場合の条件が変わり、適用期限も令和5(2023)年3月31日まで延長されました。Aさんが利用されたのはこの改正前のことですが、改正前も改正後も以下の適用要件は同じです。
2. 贈与者(教育資金の一括贈与をする人)は受贈者の直系尊属(父母や祖父母など)
3. 贈与額は1,500万円まで
4. 金融機関等で教育資金口座の開設手続きを行う
5. 4の金融機関等を通じて「教育資金非課税申告書」等を提出
その後、お孫さんは大学を無事卒業。Aさんが支援した教育資金も全額使い切れたとのことでした。教育資金口座の契約終了時に残額(管理残額)があると、終了時点で贈与者から受贈者への贈与があったものとされ、残額に対する贈与税が孫に課されるからです。
お孫さんの就職も決まり、Aさんはホッと胸を撫で下ろし、思いました。「これで自分も孫の将来に多少は貢献できたのではないか」「しかも、相続税対策になる生前贈与を孫にしてあげることができた」と。
万が一Aさんの相続が発生したとき、孫の親、つまりAさんのお子さんが存命なら、孫は法定相続人になれないからです。遺言書により孫に相続させることは可能ですが、孫は相続税の2割加算の対象になってしまいます。
Aさんが安心したのも束の間、孫から慌てふためいて電話がかかってきました。「僕、贈与税を支払わなくちゃいけないらしいんだ!どうしたらいい?」「えっ!?」……仰天したのは、Aさんのほうです。一体、なにがどうして、そんなことになったのでしょう。
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