(写真はイメージです/PIXTA)

近頃は日本でも、著名な経営者や資産家による多額の寄附が話題となることが増えてきました。経営者が「出身校」へ法人寄付することは、相続税対策になるのでしょうか? 岡野相続税理士法人の代表社員、岡野雄志税理士が詳しく解説します。

日本にも根付き始めた「フィランソロピー」

コロナ禍で富裕層の「寄附」にも変化

「フィランソロピー」はギリシア語の「人類愛」から生まれた言葉で、人々の「WellBeing(幸福、健康、クオリティ・オブ・ライフなど)」を目的とした慈善活動、慈善事業を指します。米国のロックフェラー家、カーネギー家が「フィランソロピスト」として有名です。

 

最近では、世界的なアウトドアブランド『パタゴニア』創業者のイボン・シュイナード氏が、30億ドル(約4,300億円)相当の保有全株式を環境NPOなどに寄附したのが代表例でしょう。また、マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏が200億ドル(約2兆2,800億円)を『ビル&メリンダ・ゲイツ財団』に寄附したのも、記憶に新しいところです。

 

米国には、個人や家族による「ファミリー財団」が4万以上あり、個人的社会貢献活動の一環として認識されていて、企業財団も含む全財団の半数以上を占めます。米国に寄附文化が根付く背景には、「慈善」「教育」「宗教」といった価値観の浸透に加え、税制やNPO・非営利法人制度の整備があるのも確かです。

 

しかしながら、近頃は日本でも、著名な経営者や資産家による多額の寄附が話題となることが増えてきました。米経済誌『フォーブス(Forbes)』によれば、日本でも超富裕層トップ10のうちの6人がなんらかの財団を設立しているそうです。

 

自動制御機器などの製造販売企業・株式会社キーエンス創業者の滝崎武光氏は、3,900億円相当の保有株式を『キーエンス財団』に寄附し、注目されました。2022年8月に他界した京セラ創業者の稲盛和夫氏も、母校や財団に多額の寄附をしたことで知られます。

 

日本の「寄附元年」とされるのが、東日本大震災発生の11年。その約10年後、今度は新型コロナウイルスが世界を襲いました。NPO法人・日本ファンドレイジング協会『寄付白書2021』によると、2020年、米国の個人寄附額は3,241億ドル(34兆5,948億円)で、前年比144億ドル増。日本でも、東日本大震災以来初の1兆円を突破したそうです。

 

コロナ禍では貧困や困窮が広範囲にわたり、「誰を支援するか」という寄附者の選択と決断を要しました。医療関係者などのエッセンシャルワーカーが注目され、一方で「外出自粛」「ソーシャルディスタンス」で人との関わりが減り、孤独死も社会問題となりました。

 

「おひとりさま」「おふたりさま」家庭が増え、こうした状況のなか、特に高齢者の「寄附」意識が高まっているそうです。『寄付白書2021』によれば、年齢層が高くなるほど、寄附者率も増え、60代では男女合わせて47.0%、70代では54.7%だそうです。

 

身近に法定相続人がいない富裕層にとっても、将来の相続発生を考えた時、「生前の寄附」や「遺贈寄附」が選択肢のひとつとなっています。

 

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