(写真はイメージです/PIXTA)

遺言書の内容に納得がいかないとき、なんとかして異議をとなえることはできないのでしょうか。岡野相続税理士法人の岡野雄志税理士が、子どもがいない「おふたりさま夫婦」の相続において起こりえる、配偶者と兄弟姉妹の間のトラブルについて解説します。

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    「シニア婚」のおふたりさま相続…法定相続分は誰に?

    成年年齢に関する民法が一部改正され、令和4(2022)年4月1日から施行されています。成年年齢が20歳から18歳へと引き下げられ、また、これまで女性は16歳、男性は18歳とされていた婚姻開始年齢も、男女ともに18歳に改められました。

     

    これに伴い、民法第753条(婚姻による成年擬制)「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす」は削除されました。かつては「結婚しなければ一人前ではない」と言う人もいましたが、今や結婚に対する価値観も多様性に富んでいます。

     

    厚生労働省によると、令和2(2020)年の平均初婚年齢は夫31.0歳、妻29.4歳。また、初婚の妻の年齢の構成割合を10年ごとに比較すると、低年齢者の割合が減り、高年齢者の割合が増加傾向にあるとのことです。

     

    令和3(2021)年9月公表の厚生労働省『人口動態調査』でも、前年の60歳以上の婚姻件数は男性992件、女性402件と、この20年間で大幅に上昇しているそうです。シニア婚活市場も活況で、ある結婚相談所の調査によると、高齢者会員の結婚したい理由で男性の1位は「身の回りの世話をしてほしい」、女性は「将来の生活費が心配」だったとか。

     

    「身の回りの世話」をしてくれた妻に、夫として「将来の生活費の心配」はさせたくない。そういう思いから、お互いを支え合ってきた大人の夫婦として、自分の遺産をすべて配偶者に渡したいと考えるのは、自然な心情と言えるかもしれません。

     

    ところで、配偶者は常に相続人となることが民法で定められています。そのほかの相続順位としては、第1順位が子およびその代襲相続人(孫など)、第2順位が直系尊属(父母や祖父母など)です。シニア婚でお子さんがなく、両親がすでに他界している場合、第3順位の兄弟姉妹およびその代襲相続人(甥や姪など)が相続人となります。

     

    では、こういった「おふたりさま相続」の場合、被相続人(財産を遺して亡くなった方)が「配偶者に全財産を相続させる」という遺言書を作成していたら……。その遺言内容は、法律的に成立するのでしょうか。

     

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