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「教育資金の一括贈与の特例」改正のデメリット
実はなんと、お孫さんは教育資金口座の管理残高を車の購入に使ってしまったのです。
「教育資金の一括贈与の特例」の適用は、以下のような教育費用の場合に限られます。
(1)学校等に対して直接支払われる次のような金銭
① 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費または入学(園)試験の検定料など
② 学用品費、修学旅行費、学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など
(2)学校等以外に対して直接支払われる次のような金銭で社会通念上相当と認められるもの
〈イ 役務提供または指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの〉
③ 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
④ スポーツ(水泳、野球など)または文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他 教養の向上のための活動にかかる指導への対価など
⑤ ③の役務提供または④の指導で使用する物品の購入に要する金銭
〈ロ イ以外(物品の販売店など)に支払われるもの〉
⑥ ②に充てるための金銭であって、学校等が必要と認めたもの
⑦ 通学定期券代
⑧ 留学渡航費、学校等に入学・転入学・編入学するために必要となった転居の際の交通費
たとえ通学や通勤用でも、教育費用に当たらないマイカーの購入など、もってのほかです。Aさんも自分の説明不足を反省しましたが、孫ももう社会人。新入社員の給与では贈与税の納税は負担が重いでしょうが、心を鬼にして自ら払わせるより仕方ありません。
こうしたトラブルを避けるため、金融機関のチェックも厳しくなっています。自身で教育資金を支払ったのち、領収書を提出することで教育資金口座からの払い出し可能という金融機関もあります。
しかし、自ら先に払える資金があるなら、贈与を必要とするでしょうか? そこで、払い出した教育資金は当年中に教育機関へ支払い、教育機関からの領収書提出が必要という金融機関もあります。
いずれにせよ、使い切れなかった教育資金を信託期間中に教育資金口座に戻さないと、「教育資金として支出しなかった贈与額」とみなされ、贈与税の課税対象となります。重々注意しておかなければいけません。
なお、「特例贈与財産」の贈与税額については、通常、下記の計算式が用いられます。財産の贈与を受けた年の1月1日現在、成人している子や孫が父母または祖父母から贈与を受けた場合、この計算方法となります。
贈与税課税価格×特例税率-控除額=贈与税額
令和3年度「教育資金の一括贈与の特例」改正で、特に要注意なのが「贈与者が死亡した場合、管理残額は相続または遺贈により取得したもの」とみなされる点です。改正前は贈与者の死亡時点から遡って3年以内の残額のみが相続税の対象でしたが、改正後は一部を除き、全残額が相続税の対象となりました。
一部を除きというのは、受贈者が以下の場合は対象外となるからです。
● 学校等に在学中
● 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講中
誰しもいつ死ぬかなんてわかりませんし、他界している贈与者にはどうしようもありません。また、「教育資金の一括贈与の特例」は令和5(2022)年3月31日が適用期限となりましたが、慌てて申し込みする前に、専門家に相談されたほうがいいかもしれません。
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