(※写真はイメージです/PIXTA)

東京都が公表した「マンション実態調査(2011年)」によると、築後51年以上のマンションは東京都だけで2,629棟、全体の約5%にのぼります。10年後には1万棟を超えることが予想される「老朽化マンション」ですが、建替えは一向に進んでいません。それはなぜか……不動産鑑定士の三浦雅文氏が、放置される都内の「ボロマンション」の実態を解説します。

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10年後は1万棟超え…老朽化マンションの「実態」

東京都が2013年にレポート「マンション実態調査結果」を公表しました(調査時点は2011年)
※ 以下、国土交通省を「国交省」、和暦を「平○」と略しますのでご了承ください。

 

それによると、東京都23区に分譲マンションは約5万3千棟あります。建築年別では、1971年(昭46)以前に建築されたマンション、すなわち「築後51年以上」のマンションは2,629棟、全体の約5%です。

 

また、1981年以前(築後41年以上50年以下)のマンションは9,263棟あります。10年後に築後51年を超えるマンションは、2,629棟+9,263棟=11,892棟……全体の22%と現在の約4倍に増えます。

 

そのようななか、老朽化にともなうマンションの建替えの現状はどうなっているでしょうか。

 

マンションの寿命に目安はありません。維持管理次第です。一応、画一的な基準として、税法上「鉄筋コンクリート造は47年」と定められています。

 

全国で昨年までに建替え工事が完了した数の累計は「263件」、過去15年間の年間平均は「約10.5件」です。ここには23区での建替え数字は入っていません
※ 国交省・平成30年度マンション総合調査より

 

注意点は、国交省の数え方が棟数ではなく、相談件数だということです。相談内容が1件=1棟とは限りません。ただ、団地の建替えのように、1件の相談に複数棟の建替えがあるケースは少ないと推測しますので、ここでは1件=1棟とみなすことにします。なお、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震による建替え(計114件)は含んでいません。

 

全国に分譲マンションは約13万棟あるようです。ただ、国交省のマンションデータは戸数表示で、棟数別は公表されていませんし、建築年別についても公表されていません。

 

仮に、いままで建替えられた263棟すべてが23区内の築後51年以上のマンション(2,629棟)だったと仮定すると、263棟÷2,629棟≒10%になります。

 

ここから、先述の年間平均である10.5棟ずつ建替えられたとすると、10年後には現在築後41年以上経過するマンション(9263棟)が加算されますので、{263棟+(10.5棟×10年)}÷(2,629棟+9,263棟)≒3%になります。

 

つまり、10年後は10%から3%へと、建替えはかなり厳しい状況になることが予想されます。ちなみに、前記調査で建替えられた263棟の半分が23区内だったとすると、10年後の確率はさらに下がり1.5%になります。

 

では、建替えが進まない原因はどこにあるのでしょうか?

 

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