3年半家賃滞納された家主…70歳の連帯保証人に請求も「権利濫用」とされたワケ【弁護士が事例解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

賃貸物件契約の際に設定が求められる「連帯保証人」。2020年に民法が改正され、「保証人が支払うべき“限度額”を設定しなければ、保証契約は効力をもたない」と定められました。では、改正民法適用前に、その額に制限がかけられるケースはあるのでしょうか。賃貸・不動産問題の知識と実務経験を備えた弁護士の北村亮典氏が、実際にあった裁判例をもとに解説します。

改正民法で定められた「連帯保証人が負う責任」の限定

賃貸物件の契約の際に、未払賃料等が発生した場合の担保として連帯保証人を設定することは通常行われています。

 

しかし、建物賃貸借における連帯保証人の責任が過大になっていたという問題意識から、2020年4月1日に施行された改正民法の465条の2第2項により、保証人が負うべき限度額(極度額)を定めなければ、保証契約は効力を生じないと規定されました。

 

*改正民法465条の2第2項

2.個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。


したがいまして、改正民法が適用される2020年4月1日以降に締結された賃貸借契約において、保証契約が効力を生ずるためには、契約書において保証人の負うべき極度額を「●円」とか「月額賃料の●ヵ月分」といった形で規定をしなければなりません。

 

以上が近時の保証人の責任を限定する民法改正の内容ですが、改正民法が適用される前の賃貸借契約における連帯保証人の責任についても、以下のように、その請求が制限される場合があることは、最高裁判例によっても示唆されています。

 

「本来相当の長期間にわたる存続が予定された継続的な契約関係である建物賃貸借契約においては、保証人の責任が無制限に拡大する可能性・危険性があることに鑑み、賃借人が継続的に賃料の支払を怠っているにもかかわらず、賃貸人が、保証人にその旨を連絡することもなく、いたずらに契約を存続させているなど一定の場合には、保証債務の履行を請求することが信義則に反するとして否定されることがあり得ると解すべきである(最高裁平成9年11月13日第1小法廷判決・裁判集民事186号105頁参照)。」

 

【5/20 関連セミナー開催】
不動産価値創造企業「レーサム」不動産小口化商品、待望の第2弾商品説明会

こすぎ法律事務所 弁護士

慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。神奈川県弁護士会に弁護士登録後、主に不動産・建築業の顧問業務を中心とする弁護士法人に所属し、2010年4月1日、川崎市武蔵小杉駅にこすぎ法律事務所を開設。

現在は、不動産取引に関わる紛争解決(借地、賃貸管理、建築トラブル)、不動産が関係する相続問題、個人・法人の倒産処理等に注力している。

毎月1回、大家さん向けの役に立つ裁判例のメールマガジン発行(メールマガジンご希望の方は、こちらの問合せフォームにて「メールマガジン登録希望」と書いてお申し込みください)。

北村氏が運営するメディア、 川崎・武蔵小杉の相続・離婚法律相談 はこちら!

著者紹介

連載現役弁護士による「賃貸・不動産法律問題」サポート相談室

※本記事は、北村亮典氏監修のHP「賃貸・不動産法律問題サポート弁護士相談室」掲載の記事・コラムを転載し、再作成したものです。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧
TOPへ