25年間で配当5倍、利益2.5倍…給料だけ横ばいの絶望的現実

「所得倍増」のビジョンは池田勇人が昭和時代に主張し、実現させたのが有名ですが、それ以降で「所得倍増」という言葉をハッキリと使って総理大臣になったのは岸田文雄総理がは初めてです。「正しい経済対策」を行えば、10年もあれば私たちの所得が2倍になるということは、絶対に可能だといいます。元内閣官房参与の藤井聡氏が著書『なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか』(ポプラ新書)で解説します。

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正しい経済対策で所得2倍は可能な根拠

■岸田ビジョンに「希望」はあるか

 

――「なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか」というテーマで藤井先生にいろいろお話をうかがっていた矢先、岸田内閣が誕生しましたね! 先生はこの内閣で、日本経済はどうなると思われますか?

 

藤井 それを考える上で一番大事なのは、岸田総理は「所得倍増」を目指すという話を軸にして公約をつくり上げ、それで総裁選挙に打って出て勝利したという事実です。「所得倍増」というビジョンはこれまで池田勇人が昭和時代に主張し、それを実現させたのが有名ですが、それ以降でこの言葉をハッキリと使って総理大臣になったのは岸田さんが初めてです。だからこれは画期的な話なわけです。

 

もちろん、この「所得倍増」というビジョンは単なる絵に描いた餅に過ぎず、選挙対策のためだけに岸田さんが口から出任せにいっていたウソ話なんだったらどうしようもないですが、僕は岸田さんが本気で所得倍増に取り組めば、間違いなく日本経済は良くなると思います。っていうかもっとハッキリいうなら、岸田さんが正しい対策をしっかりと行えば所得倍増ができないなんてことはあり得ない。

 

つまり、岸田さんが本気である限り、この令和の時代に私たちの所得が2倍になることは確実に可能だと確信しています。

 

――希望はある、っていうことですね!?

 

藤井 はい、もちろん。「希望」はあります。ただ、繰り返しますが、それは本当の本当に岸田さんが所得倍増に「本気で取り組めば」という条件付きの話です。

 

そもそも、令和3年9月の自民党総裁選の候補の一人だった河野太郎さんなんかは、所得倍増なんて全くいってませんでしたし、日本を成長させてみなさんの貧困や格差の問題に取り組むんだ、なんてこともいってませんでした。だから、もしも河野総理が誕生していたら、日本経済が良くなるなんていう可能性は万に一つもないっていう絶望的な状況になっていたわけです。それに比べれば、岸田さんの方が圧倒的に希望はある、とはいえます。

 

それからもう一ついえるのは、もし、岸田さんが総理大臣として何をやっても、何をどう頑張ったって、私たちの所得が2倍になるなんてことは絶対にない――ということなら、これもまた絶望的な状況だってことになりますよね。でも、それについては全く問題ない。

 

岸田さんが、たとえば本書でじっくりお話しする「正しい経済対策」を行えば、10年もあれば私たちの所得が2倍になるということは、絶対に可能なんです。

 

■「財政再建は大切だ」といい続ける危うさ

 

――なるほど。では、岸田総理がやろうとしていることは、「正しい経済対策」だといえるわけですか?

 

藤井 まさにそこが問題なのですが……少なくとも、岸田さんが総裁選に出馬される前に出版した『岸田ビジョン 分断から協調へ』(講談社)という本を読んだ限り、とても良いこともたくさん書いてあるのですが、経済成長にとって肝心要の「日本の貧困化が終わるまで政府支出を拡大していく」ということが、書かれてないのです。岸田さんは、「財政再建は大切だ」といい続けておられ、それがネックとなって所得倍増は実現できない可能性が考えられてしまうわけです。

 

いい換えるなら、岸田さんが、今考えている経済対策をしているだけなら、それでもある程度は、私たちの所得が増えていくことはあり得るとは思いますが、「倍増」といわれるほどに勢いよく増加していくことは難しいと思います。

 

京都大学大学院工学研究科教授
元内閣官房参与

1968年、奈良県生まれ。京都大学大学院工学研究科教授(都市社会工学専攻)。元内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)。京都大学工学部卒業、同大学院修了後、同大学助教授、イエテボリ大学心理学科客員研究員、東京工業大学大学院教授などを経て、2009年より現職。2012年より18年まで安倍内閣において内閣官房参与。2018年よりカールスタッド大学客員教授、ならびに『表現者クライテリオン』編集長。文部科学大臣表彰、日本学術振興会賞など受賞多数。専門は公共政策論、都市社会工学。近刊に『令和日本・再生計画』(小学館)、『こうすれば絶対よくなる!日本経済』(アスコム刊、田原総一朗氏との共著)、『ゼロコロナという病』(産経新聞出版刊、木村盛世氏との共著)などがある。

著者紹介

フリーランスライター

フリーランスライター。OLを経て、新聞や雑誌で放送関係の記事を執筆。イギリス遊学後、女性の生き方から科学、宗教、アフリカの貧困問題など興味のあるものは何でも書き、書籍のライティング(聞き書きスタイルの執筆)でベストセラーを手掛ける。著書に『生きて生きて生きて 愛の極みまで 16人の宣教者+曽野綾子』(海竜社)、『「自分を変える」ということ』(齋藤直子との共著 幻冬舎)。

著者紹介

連載令和版「所得倍増」計画はこうすれば実現する

本連載は藤井聡氏の著書『なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか』(ポプラ新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。

なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか

なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか

藤井 聡 木村 博美

ポプラ新書

「日本経済の5つの嘘」にだまされるな! この「嘘」に気付かなければ、あなたは一生貧乏でいるしかない。富裕層だけが知っている日本経済のからくりとは? コロナ禍をうまく脱却すれば、日本人はやっと金持ちになれる。 安…

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