2019年10月1日から日本の景気が「とてつもなく悪くなった」ワケ

「デフレ不況」は、値段を下げても需要が伸びず、景気の悪化が繰り返されて止まらなくなり、ますますデフレが進行するという悪循環が続く状況です。簡単にいえば、日本人の給料が下落し続けていく状況を指します。どうすればいいのでしょうか。元内閣官房参与の藤井聡氏が著書『なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか』(ポプラ新書)で解説します。

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デフレが日本人の給料を伸びなくした原因

■国民の所得が減り続けていく「デフレ不況」

 

――日本はずーっと「デフレ不況」だといわれてますよね。そもそもインフレとデフレは、どこがどう違うのか。改めて、教えてください。

 

藤井 インフレはインフレーションの略称で、インフレーションとは「膨張」っていう意味です。だから、投資や消費も増えるし、賃金も増えて、物価も上がっていきます。デフレはデフレーションの略で、膨張の逆の「収縮」を意味します。

 

だから、投資も消費も減り、賃金も物価も下落していきます。もっとわかりやすくいうと、みんながお金持ちになっていく経済状況がインフレ、逆にみんなが貧乏になっていく経済状況がデフレです。だからよく政治家たちが「デフレ脱却!」っていってますが、これって「貧乏脱出!」っていってるのと同じなんですね。

 

それで、インフレになるのは、モノやサービスを生産する量「供給」よりも、人がモノやサービスを買う量「需要」が多い場合。デフレになるのは逆に、人がモノやサービスを求める量「需要」に比べると、モノやサービスを生産する量「供給」のほうが多いときに起こります。要するに、「需要」が足りなくて、モノの値段が下がり続ける状態です。

 

――モノの値段が下がるっていいことじゃないですか! なんでも安くなったほうが、私たちの生活はラクになるでしょう。

 

藤井 いやいや。喜んでいる場合ではありませんよ。デフレになると下がるのは物価だけじゃなくて、給料も下がっていくんですよ。デフレというのはみんなが貧乏になっていくっていうことなんですから、いいことのはずがないじゃないですか。

 

そもそも需要より供給が上回っているというのは、つまり、つくったモノが売れ残るということです。売れないと、企業は商品の値段を引き下げます。それでも売れないと、原価ギリギリの値段まで下げてでも売ろうとする。結局、売れなくても売れたとしても、企業の利益は減ります。

 

そうなると、そこで働いている人たちの給料が減って貧乏になります。貧乏になれば、節約せざるを得なくなります。そうなると、世の中の消費が減ります。世の中の消費が減少すれば、別の人たちの給料も下がります。あなたやあなたの家族の給料も下がってもっと貧乏になります。多くの人が財布の紐を締めるようになりますから、ますますモノが売れなくなって、どんどん経済が落ち込んでいってしまうわけです。

 

――いわれてみれば、確かに物価と共に我が家の収入も落ちてきています。あれが安くなった! これも安い! と喜んでいるうちに、めぐりめぐって自分たちの賃金も安くなっていたわけですね。今の今まで、それに気づかなかったなんて、我ながらほんとにアホですねぇ……。

 

藤井 デフレ、インフレをただ単にモノの値段の変化だと思っていると、モノの値段が下落するデフレは悪いという感じがしないでしょ。でも、もともとの意味が最初にいったように、インフレは「膨張」、デフレは「収縮」です。だから、インフレは経済が膨らんでいくイメージ、デフレは経済が縮んでいくイメージで考えてください。

 

――あ、そうでした。それだとわかりやすいですね。デフレは経済が縮んでいくのだから、いいわけがない。って、これからも経済は縮むわけですか?

 

藤井 はい。政府が何もしなければ、デフレは自動的に悪化していくんです。いったん坂道で石が転がりだしたらずっと転がり続けますよね。それと同じです。たとえば企業は、給料を削減しても利益が確保できなければ、従業員を解雇することになります。失業者はいよいよモノを買えなくなります。そういう人が増えると、なおいっそう景気は冷え込みます。

 

このように、「デフレ不況」というのは、値段を下げても需要が伸びず、景気の悪化が繰り返されて止まらなくなり、ますますデフレが進行するという悪循環が続く状況です。簡単にいえば、私たちの「所得」が下落し続けていく状況を指します。

 

――これから先も、下がり続けるんですか?

 

藤井 はい、確実に。デフレから脱却しない限り、国民はどんどん貧しくなっていきます。

 

――ゲーッ!

京都大学大学院工学研究科教授
元内閣官房参与

1968年、奈良県生まれ。京都大学大学院工学研究科教授(都市社会工学専攻)。元内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)。京都大学工学部卒業、同大学院修了後、同大学助教授、イエテボリ大学心理学科客員研究員、東京工業大学大学院教授などを経て、2009年より現職。2012年より18年まで安倍内閣において内閣官房参与。2018年よりカールスタッド大学客員教授、ならびに『表現者クライテリオン』編集長。文部科学大臣表彰、日本学術振興会賞など受賞多数。専門は公共政策論、都市社会工学。近刊に『令和日本・再生計画』(小学館)、『こうすれば絶対よくなる!日本経済』(アスコム刊、田原総一朗氏との共著)、『ゼロコロナという病』(産経新聞出版刊、木村盛世氏との共著)などがある。

著者紹介

フリーランスライター

フリーランスライター。OLを経て、新聞や雑誌で放送関係の記事を執筆。イギリス遊学後、女性の生き方から科学、宗教、アフリカの貧困問題など興味のあるものは何でも書き、書籍のライティング(聞き書きスタイルの執筆)でベストセラーを手掛ける。著書に『生きて生きて生きて 愛の極みまで 16人の宣教者+曽野綾子』(海竜社)、『「自分を変える」ということ』(齋藤直子との共著 幻冬舎)。

著者紹介

連載令和版「所得倍増」計画はこうすれば実現する

本連載は藤井聡氏の著書『なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか』(ポプラ新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。

なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか

なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか

藤井 聡 木村 博美

ポプラ新書

「日本経済の5つの嘘」にだまされるな! この「嘘」に気付かなければ、あなたは一生貧乏でいるしかない。富裕層だけが知っている日本経済のからくりとは? コロナ禍をうまく脱却すれば、日本人はやっと金持ちになれる。 安…

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