理想的な「買物のしやすい店」とは
実は、飯田屋のゴチャゴチャ具合は、駄菓子屋さんの陳列を参考にしています。僕が子どものころに感じた、あのワクワクを飯田屋でもお客様に感じてもらえないかなと思ったのです。
ですから、すっきりしている店舗とは真逆で、買いやすさともかけ離れています。しかし、会話しなければ買物がしにくい不便な店だからこそ、料理道具に対する不満などお客様の本音をうかがう機会が生まれます。
また、飯田屋には「すべての人が便利だと喜ぶ道具はない」という考え方があります。そのため、一見どれを買えばいいのかとお客様は迷いがちです。ですから、興味を惹きつけるPOPや、声をかけていただきやすいスタッフの雰囲気づくりには工夫を凝らします。
もしかしたら一部の人にとっては、世界でいちばん買物しにくい料理道具屋かもしれません。一方、一部の人にとっては、わざわざ時間と手間をかけてでも料理道具の相談をしに行きたくなる店になったように思います。全方位すべてのお客様に愛されるような店にはしたくありません。そんな店は、誰からも愛されてない店だからです。
世の中に、店内がすっきりとしている店はいくらでもあるでしょう。手が伸ばしやすいように商品の陳列が広くとられた店もいくらでもあります。
ただ、お客様に不必要なものを買わせない店はどれほどあるでしょうか。「不必要なものを買わせない」は、お客様にとって買いやすい店の要素の一つです。飯田屋が目指す理想的な「買物のしやすい店」はまさにそのような店なのです。
飯田 結太
飯田屋 6代目店主
↓コチラも読まれています
ハーバード大学が運用で大成功!「オルタナティブ投資」は何が凄いのか
富裕層向け「J-ARC」新築RC造マンションが高い資産価値を維持する理由