心臓血管治療への特化が医療スキルとチーム力向上をもたらした

二次医療圏で心臓血管治療に専門特化した病院の事例【後編】

心臓血管治療への特化が医療スキルとチーム力向上をもたらした
(※画像はイメージです/PIXTA)

所沢ハートセンターでは心臓血管治療に特化して多くの症例を重ね、経験値を高めてきました。多くの症例と経験、教育により、医師をはじめスタッフの力量は上がり、チームとしての総合理解が進み、チームの成熟度を増す結果をもたらしました。※本連載は杉本ゆかり氏の著書『患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング』(千倉書房)の一部を抜粋し、再編集したものです。

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    心臓血管治療に必要な「スピード&コンパクト」戦略

    (2)集患効率を上げるポイント

     

    集患戦略は、心臓血管治療には欠かせない「スピード&コンパクト戦略」であり、高い医療レベルだからこそスピードを速めることができる。結果として治療結果は向上し、患者の信頼を得ることが可能となる。これらの実現は、コンパクトな仕組みがポイントである。

     

    ●小規模病院でも24時間365日、専門性の高い医療レベルを保つ

     

    第1に、所沢ハートセンターでは、常勤医が当直を行っている。そのため、コンパクトな運営ながら、夜中でも大学病院や大規模病院と同様に医療レベルは高い状態を保ち、24時間365日、専門医の治療が受けられる。しかも、緊急時のスピードは、看護師も驚くほどの速さで治療に向かう。

     

    救急治療にとり重要な治療スピードは、医師の高度な技術と効率的な仕組みの表れであり、コンパクトに運営されているからこそ実現できている。これは、患者にとって最大の利点である。専門医の常駐は、診断力が落ちずに、高度な治療が提供されることにつながる。

     

    第2に、専門特化により症例数は多く、医師、看護師を含めたスタッフのスキルが洗練され判断力が向上し、チームが熟成する。これらは、相乗効果により、患者や地域の医師の信頼につながっている。

     

    実証研究では、医師の知識、技術、態度などから形成される医師のスキルは患者満足に影響を及ぼし、患者満足は患者のクチコミ行動を高める。同時に、継続受診行動を導くことが明らかになっている。本章でも、患者は高い医療レベルに満足するからこそ人に紹介し、受診を続けることが伺える。これは、患者が求める本質的な絶対条件である。

     

    ●専門特化型だからこそ得られる、患者と地域の医師、救急隊員からの信頼

     

    第1に、専門性が高いからこそ得られる、患者からの信頼獲得は不可欠である。外来にくる患者は、「心臓に何かあったら所沢ハートセンターにくればいい。心臓がおかしくなったら、ここにくればなんとかしてくれる、そう信じている。」と話す。

     

    その言葉は、働く者の喜びにつながる。患者の声を借りれば、患者から信頼されるためには、病気を早く正しく見つけて治療を実施し、適切な説明を行い、患者の不安を取り除く必要がある。また、痛みを取る、QOLの改善を目指すなど、患者の訴えを真摯に受け止め、患者が感じる苦しみを軽減させるための治療に専念し尽くす以外ほかにない。

     

    第2に、所沢ハートセンターに来院する患者の多くは地域の医師からの紹介であり、地域の医師からの信頼は欠かせない。かかりつけ医は、患者に専門的な治療が必要だと診断した時、医療レベルの高い信頼している医療機関を患者に紹介する。患者にとっては、自分を理解し、確かな情報を持つかかりつけ医からの紹介は、信頼できる情報である。

     

    第3に、救急救命治療において救急隊員との良好な連携は、医療レベルの高さに対する信頼の証である。専門に特化して24 時間スピーディに対応し、良い成果を出しているからこそ、救急隊員も緊急性の高い場合には所沢ハートセンターに搬送しようと判断する。

     

    ●循環器疾患患者の受診先選択と情報収集

     

    桜田院長は患者を長年診ている中で、来院する循環器疾患患者の受診先選択や情報収集には、ある傾向を感じている。

     

    「大学病院は規模が大きく、複数の専門的な診療科で対応できる。そのため、治療に関して慎重であり、病気が最初の想定と異なる可能性を考える患者は、大学病院を選択するケースが多い。」と話す。

     

    確かに、病気が想定と違った場合、別の病院を探して受診する無駄な時間や手間を省くためには、その病院内に多くの診療科をもち、他で診療してもらえる可能性が高い大学病院に最初から受診した方が効率的だと考える患者は多いであろう。

     

    一方、専門病院を選ぶ患者について桜田院長は、「詳細にしっかり専門的に診てもらいたいと思って来院するケースが多い。」と感じている。心臓の病気だと疑わず受診する患者の場合は、その専門性の高さを重視し選択するのであろう。

    次ページ時代の変化とともに疾患も医療も変化する

    ※本連載は杉本ゆかり氏の著書『患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング』(千倉書房、2020年12月刊)の一部を抜粋し、再編集したものです。

    患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング

    患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング

    杉本 ゆかり

    千倉書房

    「患者インサイト」とは、患者が心の奥底で考えている本音であり、医療に関する意思決定である。この患者インサイトを明らかにすることで、患者への情報提供や情報収集など、患者との効果的なコミュニケーション理解できるよう…

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