日本の住宅は、他の先進国と比べて「断熱・気密性能」がかなり低くなっています。冬の脱衣所が寒いのも、結露が発生しやすいのも、この性能の低さが原因です。家を建てる際には、「断熱性能」の高さを重視し、健康で快適な生活を実現したいもの。さらに、「高気密・高断熱住宅」では家事も楽になることが明らかになっています。なぜ楽になるのか、住まいるサポート株式会社代表取締役の高橋彰氏が解説していきます。
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高断熱住宅に暮らすママ「家事が楽になった」と回答
住宅の断熱・気密性能を高めると、基本的にはメリットばかりで、デメリットはほとんどありません。以前の記事でヒートショックリスクが大幅に低減されることを説明したように、健康面で非常によい影響があります。
また、高気密・高断熱住宅での暮らしはとても快適です。人生の質、つまりQOL(Quality of Life)が大幅に向上すると言っても、決して大げさではありません。
建築費は少し高くなりますが、それ以上に光熱費をはじめとした維持コストが下がりますから、実は経済的にも「圧倒的」にお得です。さらに、家の耐久性も向上します。高気密住宅は通風のいい住宅に比べて耐久性が低いと思っている方が多いようですが、これは誤解です。これらについては、以降の連載で詳しくご説明します。
今回は、「家事」に焦点を当ててご説明したいと思います。あまり知られていないのですが、住宅の断熱・気密性能を高めると、家事がとても楽になるというメリットもあるのです。
新建新聞社から、「だん」という、高断熱住宅をテーマにした一般の方向けの雑誌が発行されています。
03号の特集は「暖かい家は家事楽ハウス! ママが楽しく暮らせる家」でした。3年ほど前の号ですが、まだAmazon等で購入可能です。
この特集記事の中で、「高断熱住宅に住むママ100人に聞きました。暮らしてみて『変わった』と感じることは?」というアンケートの結果が掲載されています。1位の「光熱費が下がった」が45%、それに次ぐ僅差の43%で2位が、「家事が楽になった」でした([図表1]参照)。
住まいるサポート株式会社 代表取締役
一般社団法人日本エネルギーパス協会 広報室長
神奈川県出身。東京大学修士課程(木造建築コース)修了、同大博士課程在学中。千葉大学工学部建築工学科卒。リクルートビル事業部、UG都市建築、三和総合研究所、日本ERIなどで都市計画コンサルティングや省エネ住宅に関する制度設計等に携わった後、2018年に「結露のない健康・快適な住まいづくり」のサポートを行っている住まいるサポート株式会社を起業。日本でトップクラスの性能を誇る工務店・ハウスメーカーを厳選して提携し、消費者に無料で紹介する「高性能な住まいの相談室」や、デザインと高性能を両立する設計を行う建築家のマッチングサービス等を提供。また、横浜市住宅政策課主催のセミナーや毎日新聞社主催のセミナー等、多数のセミナーに登壇、メディアへの出演など、高性能な住まいづくりに関する情報発信に積極的に取り組んでいる。住まいづくりを考えている方々への情報発信を通して、ひとりでも多くの方が、住宅の性能に関する基礎知識を持ち、他の先進国並みに「結露のない健康・快適な家」を普及させることを目標としている。主な著書に、「元気で賢い子どもが育つ! 病気にならない家」(クローバー出版)、「人生の質を向上させるデザイン性×高性能の住まい: 建築家と創る高気密・高断熱住宅」(ゴマブックス)など。
●高性能な住まいの相談室:https://sml-support.com/lp
●建築家と創る高気密・高断熱住宅:https://sml-support.com/archicon
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