(写真はイメージです/PIXTA)

多くの費用を要する不動産の売買においては、思い違いや伝達不足などを理由に、トラブルに発展するケースが後を絶ちません。本記事では、不動産法務に詳しいAuthense法律事務所の森田雅也弁護士が頻出事例をもとに、不動産売買におけるトラブル予防策を紹介していきます。

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「土地」に関する不動産売買トラブル

不動産売買に関するトラブルのなかで、土地に関するトラブルには、主に境界に関するものと地下埋設物に関するものの2つがあります。

 

①隣地との境界が確定していないことによるトラブル

土地の売買で生じやすいトラブルの一つに、隣地との境界が定まっていないことや、あいまいであることによるものがあります。

 

境界とは、その土地と隣の土地との境目のことです。

 

原則として、すべての土地は法務局へ登録(「登記」といいます)されており、それぞれの土地について面積も記載されています。そのため、以前は測量され、どこからどこまでがその土地であるのか区分されていたはずです。

 

しかし、前回の測量から長い期間が経過したことなどにより、どこがその土地の境界なのかよくわからなくなってしまっている場合が存在します。隣地の所有者が勝手に越境をして、塀や建物を建築してしまっているような場合もゼロではありません。

 

そもそも、売主には目的物引渡義務の履行の一環として、境界明示義務があるとされています。境界明示義務とは、「ここからここまでが売却対象の土地です」ということを、明確に示すことです。

 

そのため、売却の前には土地をきちんと確認し、事前に境界に関する問題を解消したうえで売却するようにしましょう。

 

当然ながら、境界に関してトラブルを抱えているにも関わらず、何ら説明することなく土地を売却してしまうと、後から損害賠償を請求されるなどトラブルに発展する可能性が高くなります。

 

境界の確定には費用や時間がかかることも少なくありません。また、隣地所有者が協力的ではないなど、状況によっては非常に骨が折れる手続きとなる場合もあるでしょう。だからといって、境界トラブルを隠したまま売却することなどは言語道断です。

 

②地下埋設物によるトラブル

土地に関するトラブルとして、地下に埋設物があるケースが考えられます。埋設されているものは、たとえば解体工事で生じた廃材であったり、以前その地で操業していた工場から出た産業廃棄物であったりさまざまです。

 

売主として地下埋設物があることを知っているのであれば、そのことを隠して売却することは絶対に避けましょう。遅かれ早かれ建設工事の過程などで判明することであり、仮に埋設物の存在を隠して売却したとなれば責任を問われる可能性が高いためです。

 

地下埋設物の存在を知っている場合はもちろん、埋設物が埋まっている可能性があると考えているのであれば、売主としては可能な限り地下埋設物の有無を調査し、万が一埋設物があった場合には撤去をしてから売却するようにしましょう。

 

仮に買主も納得してくれるのであれば、埋設物を撤去しないまま売却する代わりに、撤去に要する費用分を値引いた金額で土地を売却することも選択肢の一つです。

 

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    本記事はAuthense不動産法務のブログ・コラムを転載したものです。

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