(※写真はイメージです/PIXTA)

MR(医薬情報担当者)は、30代半ばくらいになると1000万円近い年収を得るケースもあります。所得税、健康保険料、厚生年金保険料などは年収に応じてアップしますから、次第に税金や社会保険料のことが気になってくるでしょう。そろそろ、節税のことを考えるタイミングです。高所得者の資産運用事例として、ここでは外資系メーカーに勤めるMR・服部さん(仮名)のケースを見ていきましょう。

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【服部さん(仮名)のプロフィール】

年齢:33歳(男性、法学部卒)

所属:外資系メーカー(リーダー)

担当:大学病院

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服部さん(仮名)は昨年、国内大手メーカーから外資系メーカーに転職。大学病院を部下のMR4人と一緒にチームで担当しています。

 

訪問するのは毎日同じ病院です。ただ、規模が大きく、メンバーそれぞれが担当する科や面談するドクターは異なります。そのため、SMSなどを活用して綿密に連絡を取り合い、お互いの活動状況を共有したり、チームとしての全体的な動きを把握したりするよう心掛けているそうです。

 

また、大学病院には珍しい疾患や重篤な状態の患者が集まりますから、先生方から非常に難解な質問を受けることも多く、服部さんは日々、勉強にも時間を掛けています。

 

「自分の提供した情報が患者の治療に役立つと思うと非常に遣り甲斐を感じます。先日もある教授から自社の製品について質問をもらったとき、明らかに他社の製品のほうがふさわしいケースだと思ったので、そのように伝えたところ、『君は信頼できる』と言っていただきました」

 

MRは営業という仕事ではあるものの、医療に携わっているプライドをもって仕事をしている服部さんです。

高収入なのに、思ったほど手元にお金が残らない

服部さんは、プライベートでは3年前に結婚し、現在は夫婦共働きです。転職によって年収もアップ。いまや1000万円を超えるほどになっています。

 

それとともに気になりだしたのは、税金や社会保険料の負担感でした。思ったほど手元にお金が残らないといいます。

 

それもそのはず。例えば、課税所得のうち695万円から900万円未満の部分は23%ですが、900万円から1800万円未満の部分は33%と10ポイントも税率がアップします。

 

■子育てが始まれば世帯収入は下がる…将来のためNISAとiDeCoを始めたが

「最近、そろそろ子どもが欲しいねと妻と話しているところなんです。子どもが生まれたら、妻はしばらく子育てに専念する予定で、家計の収入はダウンします。今まであまり考えたことがなかったんですが、将来に備えた資産形成をどうするか気になってきました」

 

そこで服部さんはまず、NISAとiDeCoを使って投資信託の積立を始めました。いずれも税制上の優遇が受けられますが、資産形成としてのペースはゆっくり。すぐ効果が目に見えるというわけではありません。

 

また、投資信託も運用成績は株式相場に左右されるので、その動きがどうしても気になってしまいます。

 

ほかにも何かいい方法はないか探していたとき、以前の会社で同期だったMRと食事をすることになったそうです。

 

「そこで聞いたのが不動産投資のことでした。彼の説明はすぐには理解できませんでしたが、いちばん面白いと思ったのはローンによるレバレッジ効果ですね。そんなやり方もあるのかと関心が湧き、書籍やネット、セミナーなどで勉強することにしました」

 

服部さんが聞いたのは、おおむね次のような説明です。

 

■売却時、手元に残るキャッシュがポイント

例えば10年で500万円を貯めようと思うと、毎月4万円以上を積み立てていかないといけません。それに対し、2500万円のワンルームマンションを全額ローン(年利2%、35年返済)で買い、ローンの返済などは賃料でカバー、10年後に買ったときから価格がそれほど下がらずに売れれば、元金が減っている分で500万円ほどが手元に残ります(諸費用などは別)。

 

不動産投資で大事なのは、毎月のキャッシュフローだけで考えないということです。なぜなら、ローンを利用して購入した場合、所有している間にローンの元金も減っていくからです。つまり、他人資本(ローン)を使って不動産投資を始め、運用中も人のお金(家賃)でそれを減らしていきます。そして、売却したときには元金が減った分だけ、手元にキャッシュが残るというわけです。

 

ただ、そこで鍵を握るのは立地。入居者が途切れず、買った時からそれほど値下がりしないことが大事です。服部さんとしては、そういう視点から物件を探し、都内で新築ワンルームと中古ワンルームを一緒に購入することにしました。服部さんのこのやり方は、将来に備えた不動産投資の重要なヒントになるはずです。

資産運用の代表的手段「株式投資・投資信託」について

資産運用にはいろいろな方法があります。そのうち、最も代表的なのが、株式投資と投資信託です。それぞれの、メリットとデメリットを整理してみます。

 

■株式投資のメリット・デメリット

株式投資とは、上場している株式会社の株を購入することです。上場企業の株式を買ってもっていると、配当金の支払いを受けたり、株主優待を受けられたりします。また、その企業の業績が上がったり、景気全体が上向いたりすると、買ったときより株価が上がり、売却すれば売却益が得られます。

 

また、株価は物価に連動する傾向があり、預金や現金で運用するのに比べ、インフレに強いのも株式投資のメリットです。

 

一方、株式投資にはデメリットもあります。

 

企業業績が低迷したり景気の悪化やリーマンショックのような金融危機があったりすると、大幅に株価が下がります。万が一、投資先の企業が倒産すれば、株式は無価値になることもあり得ます。

 

また、株価は月曜日から金曜日まで毎日、株式市場での取引によって動きます。その動きを逐一、追い掛けるのは多忙なMRの方たちには無理です。所有している株式の株価が上がればうれしいですが、どんどん下がれば不安になり、気分が落ち込んで仕事が手につかなくなったりします。MRとして仕事をしながら、株式投資に詳しい方もいらっしゃいますが、例外的なケースだといえます。

 

■投資信託のメリット・デメリット

投資信託とは、幅広く投資家から資金を集め、それを金融のプロフェッショナルが株式や債券などに投資して運用する金融商品です。運用によるリターンは、手数料等を差し引いてそれぞれの投資額に応じて分配されます。

 

投資する株式や債券はプロが選び、売買のタイミングもプロが判断して行います。投資家としてはいちいち投資対象を選んだり、相場の動きを追い掛けたりする必要がありません。

 

また、少額の資金で始められるのも投資信託のメリットです。株式投資(個別銘柄)はある程度、まとまった資金が必要ですが、投資信託では1万円からでも始められます。

 

ただし、株式にしろ債券にしろ、運用成績は市場の動向に左右され、マイナスになることもあります。また、個別の株式投資に比べて、購入時や保有期間中、一定の手数料が掛かることが多く、その分、実質リターンは下がります。

 

株式投資よりは多少、リスクや手間の点でましかもしれませんが、投資信託もMRに向いた運用方法とはいいにくいのです。

 

 

大山 一也

トライブホールディングス 代表取締役

 

高橋 侑也

 

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    ※本連載は、大山一也氏と高橋侑也氏による共著『事例で学ぶ MRのための不動産投資』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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    大山 一也
    高橋 侑也

    幻冬舎メディアコンサルティング

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