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最近、将来のために「お金の勉強」を始めるMRが増加
MRは医薬情報担当者と呼ばれるように、医療の現場に医薬品の情報を伝え、また現場からも情報収集することで、医薬品による治療の一端を担う存在です。
その特殊性から、自社製品についてだけでなく、さまざまな疾患についての基本的な理解や担当エリアの医療状況、さらには国の医療制度の動向など、幅広い知識が求められます。
また、情報活動の相手は医師や薬剤師といった医療の専門家たち。皆さん極めて多忙であり、わずかな時間で適切にやりとりするコミュニケーション能力も求められます。
そうした高度な知識とスキルが求められる分、遣り甲斐(やりがい)も大きなものがありますが、一方で将来のことを考え、お金の勉強を始めるMRの方が増えています。
「業績好調でも早期退職の募集。将来に不安を感じる」
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【遠藤さん(仮名)のプロフィール】
年齢:25歳(男性、経済学部卒)
所属:国内大手メーカー(営業)
担当:クリニック
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遠藤さん(仮名)は国内大手メーカーに入社して3年目のMRです。現在は東北地方の支店に勤務し、担当エリア内のクリニックを50軒ほど回っています。
「1年目はMRの認定試験に合格するため、研修と勉強漬けでした。現場に出てからも、最初はどう動いていいか分からずに右往左往。先輩や支店長の指導を受けながら、ようやくMRの仕事の面白さを実感し始めているところです」
遠藤さんの現在の課題は、自社製品のデータや学術的な裏付けを理解したうえで、医師の方たちのニーズや課題に合わせたコミュニケーションを取っていくことです。
「ニーズや課題はドクターによってそれぞれ違うので、そこをどう見極めるのかが難しいですね。さらにその先には一人ひとりの患者がいるわけで、誰からも信頼されるMRになるというのが目標です」
MRは普段、患者たちの視野には入っていません。医療の一端を担うといってもいったいどこにいて、何をしているのか見えにくいことは否めません。
だからこそ遠藤さんは、医師だけでなく、薬剤師や患者まで、誰からも信頼されるMRであることが大切だと考えているそうです。
「ただ、製薬業界ではここ数年、業績好調な大手や外資系でも希望退職募集を行うケースが出てきており、将来について一抹の不安が胸をよぎることもあります」
そこで遠藤さんは最近、将来に備えるためにネット証券に口座を開設し、投資信託の自動積み立てを始めました。
少しずつ投資への関心が生まれ、ネットでお金についての情報を調べたりするようになったそうです。
「先日、社内研修のあと、親しくしている先輩と食事に行ったとき、投資の話になったんです。僕はまだまだ初心者なんで、NISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)など、税金の優遇制度についていろいろ質問していたら、その先輩はほかにも不動産投資をやっているというんです。不動産投資ってどんなものなんだろうと、急に興味が湧いてきました」
さっそく遠藤さんは、不動産投資についての書籍を買ってきて読んだり、不動産会社のセミナーに参加してみたりすることにしました。
そこで区分ワンルームから始める不動産投資のプランを聞き、少しずつ不動産投資の全体像を理解し始めているところです。
MRとしての仕事の手ごたえを感じつつも、将来への不安があるのであれば、遠藤さんのように一歩ずつ、将来に備えたツールとしてお金を学ぶのはとても大事です。
MRを取り巻く、医薬品業界の「厳しい変化」
MR認定センターのデータでは、国内のMR数は2013年度の6万5752人をピークに7年連続で減少しており、その間、1万2166人も減っています。
その背景には、薬価の引き下げや後発医薬品の普及などから国内市場の収益環境が厳しくなっていることがあります。医薬品市場調査などを行っているIQVIAジャパンによると、国内市場の年平均成長率は16~20年度がマイナス2%、21~25年度がマイナス2%~プラス1%と、緩やかな縮小が続くとしています(図表1)。
その一方、スペシャリティ医薬品は高い成長が予想されています。こうしたスペシャリティ医薬品の市場全体に占める割合は、15年度の31.0%から25年度には43.2~44.2%となり、また、21~25年度に発売される新薬の売上高の6割以上はスペシャリティ医薬品が占めるというのです。もちろん、生活習慣病などのプライマリ医薬品を必要とする患者も多く、引き続き売上額の大きな製品がいくつもあります(図表2)。
ただ、医薬品業界全体のこうした構造変化がMRのあり方や業務スタイルに少なからず影響することは間違いありません。
大山 一也
トライブホールディングス 代表取締役
高橋 侑也
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