(※写真はイメージです/PIXTA)

40代になると、仕事が順調であれば収入もそれなりにアップします。特にもともと給与水準の高いMRは、1000万円台に乗る人も多いです。一方、子どもがいる場合は教育費の負担がだんだん重くなってくる頃です。また、定年と定年後の生活設計を意識し始めるタイミングでもあります。どうやって家計のバランスを取りつつ、将来への準備を進めるか。頭を悩ませるところだと思います。まとまった資産を効率よく貯めていくには、どんな選択肢があるのでしょうか。

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年収1000万円超。今後も淘汰されない自信はあるが…

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【菊地さん(仮名)プロフィール】

年齢:41歳(男性、商学部卒)

所属:外資系メーカー(課長)

担当:市中病院

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菊地さん(仮名)はMRとして20年近い経験をもつベテランです。特に、ここ10年ほどはオンコロジー(腫瘍学)領域を担当し、今年の夏からは地区のMRを統括する課長職として、地区全体の業績を見ています。管理職として部下のMRと活動状況について話し合ったり、時にはドクター訪問に同行したりしています。

 

なかには学会でスピーカーとして登壇されるような第一人者の先生も多くいるため、随行の出張も多いそうです。

 

菊地さんはMRとして高い専門性を磨いてきたので、リストラが増えているこの業界において、今の会社でも、あるいは他社に移ったとしても、まだまだ第一線で活躍できる自信はあるそうです。

 

プライベートでは、妻とお子さん3人の5人家族です。来年には、長男の高校受験と次男の中学受験が控えています。

 

収入は1000万円を軽く超えますが、教育費がこれからますます掛かるはずですし、定年後への備えも始めたいタイミングです。

 

そんなとき菊地さんは、高校の同窓会に久しぶりに出席しました。

 

「40代になると人生、人それぞれですね。管理職として脂が乗ってきた同級生もいれば、リストラで大変そうな同級生もいます。なかには自分でビジネスを始めて成功したり、株式投資で億単位の資産を築いていわゆる“FIRE”(ファイア)に手が届きそうだったりする人もいました」

 

“FIRE”とはFinancial Independence, Retire Earlyの略で、経済的独立と早期リタイアを実現することを指します。

 

アメリカでリーマンショック後、30代、40代を中心に投資の収益で生活費を賄い、早期リタイアする人が増加し広まったようです。

 

具体的には、25年分の生活コストを貯めることと、それを平均年4%で運用することを目指します。

 

生活コストが年400万円なら1億円を貯め、それを平均年4%で運用すれば確かに、毎年の生活コストを捻出できる計算です。

 

日本でもこうした考え方を取り入れ、一定の金融資産を貯め40代で早期退職するのを「夢の実現」といったりする論調が見られます。

効率よく資産を増やすには…?菊地さんなりの「答え」

「自分には今すぐは無理でも、考え方としては魅力的だと感じました。いずれにしろ、まとまった資産を効率よく貯めることが大事で、そのためには節税と資産形成を同時に行える方法はないか、勉強を始めたんです」

 

菊地さんが関心をもったのが、不動産投資でした。不動産投資では、ローンを利用して自己資金よりはるかに大きな投資をすることができます。株式投資など自己資金だけでの運用ではなかなか資産が増えませんが、不動産投資であれば、効率よく資産を増やしていける可能性があるのです。

 

特に年収の高いMRはローンの審査も通りやすく、チャンスが広がります。

 

一般的に不動産投資におけるローンは、会社員なら年収の10倍くらいまでの借入が可能とされます。ただ、マイホームの住宅ローンがあると、その分はマイナス評価になります。その点、製薬業界は転勤が多いこともあり、家賃補助が厚く、ずっと賃貸暮らしの菊地さんには有利です。

 

将来定年を迎えたら、ローンの残債を繰り上げ返済して、賃料収入を私的年金として受け取ることも可能です。不動産投資で新しい未来が見えてきたと菊地さんはいいます。

不動産投資の第一のメリット、「節税効果」を考える

不動産投資の第一のメリットは、節税効果が得られるということです。より具体的にいえば不動産投資をすることにより、所得税や住民税を節税できます。帳簿上で不動産所得が赤字になれば、確定申告時にほかの所得と損益通算され、トータルの課税額が低くなります。つまり、適切に経費計上することで本来払う必要のない税金を払ってしまうリスクを回避することができるのです。特に、収入の高いMRの皆さんにとっては見逃せない点です。

 

アパートやマンションなど賃貸用不動産の賃料は、所得税においては「不動産所得」に分類されます。1年間の不動産所得を次のように計算し、ほかの所得と合わせて所得税が決まります。

 

不動産所得の金額 = 総収入金額(賃料等) ― 必要経費

 

ここでのポイントは、必要経費の内訳です。不動産所得においては、次のようなものが必要経費となります。

 

①管理費

不動産を日常的に管理するための費用です。1棟アパートや1棟マンションなどの場合、廊下や階段の清掃、設備の保守点検などが挙げられます。区分マンションでは、あらかじめ決められた金額を毎月、支払うことになっています。

 

②修繕費

建物や設備の定期的な修繕のほか、突発的な故障や不具合などの補修に掛かる費用です。1棟アパートや1棟マンションでは実際に支出した際に必要経費として計上できますが、まとまった金額になることもあるので、あらかじめ賃料から積み立てておくべきです。区分マンションでは、あらかじめ決められた金額を修繕積立金として毎月、支払うことになっており、必要経費として計上できます。

 

③ローンの利息

賃貸用不動産を融資(ローン)を利用して購入している場合、毎月の返済額のうち利息分は金融機関に支払う必要経費として計上できます(元金分は、本来は自己資金で賄うべきものであり、必要経費にはなりません)。

 

④税金

不動産を購入した際の印紙税や不動産取得税、毎年支払う固定資産税・都市計画税などが必要経費となります。

 

⑤減価償却費

不動産投資における特徴的な必要経費です。建物や設備などの購入費用(土地は除く)は必要経費になるのですが、購入した年に一括して計上するのではなく、税法上定められた耐用年数を基に、複数年にわたって分割して経費計上できます。この減価償却費が、不動産投資における節税効果を生むことになります。

 

⑥損害保険料

自然災害による損害に備えるための火災保険や地震保険などの保険料は、必要経費として計上できます。

 

⑦その他の費用

現地調査や打ち合わせなどのための旅費交通費、不動産投資に関係する書籍や新聞の購入費、運営管理に関わる通信費、確定申告を税理士に依頼した費用なども、必要経費となります。

 

賃貸用不動産を購入したことによる節税効果は、今挙げた必要経費のうち減価償却費が大きな役割を果たします。

 

賃貸用不動産を購入した年は本来、建物や設備などの購入費用が必要経費になるはずです(土地は除く)。しかし、税法上、建物や設備はその法定耐用年数に応じて、複数年にわたって経費計上することになっています。

 

そのため、賃貸用不動産を購入した年は、実際に支払った必要経費よりも不動産所得の計算上の必要経費は少なくなります(手元からはキャッシュアウト)。

 

しかし2年目以降は、実際に支払っていない減価償却費が必要経費として計上できるので、不動産所得の金額は実際のキャッシュフローより圧縮され、赤字(マイナス)になることもあります。

 

そして、この赤字分は給与所得などと相殺することが可能です。これを「損益通算」といって、所得税や住民税の負担が減ることになります。

 

ただし、このスキームには一定の注意が必要です。不動産所得が赤字の場合、土地の取得に掛かる融資(ローン)の利息分は、ほかの所得との損益通算の対象にはならないという規定があります。

 

つまり不動産所得が赤字になった場合、土地部分の金利を必要経費として計上することはできますが、損益通算の対象となるのは赤字部分から土地の借入金の金利に該当する額を差し引いた金額になります。土地に関する融資の利息分は基本的に、建物を取得するために借りた分と土地を取得するために借りた分を区別し、借入金に対する土地の割合を算出します。この区分が難しい場合、自己資金は優先的に土地の取得に充て、融資は土地の残金と建物の取得に充てたと考えます。こうした点は複雑ですので、不動産投資に詳しいコンサルタントに相談したほうが安心です。

 

 

大山 一也

トライブホールディングス 代表取締役

 

高橋 侑也

 

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※本連載は、大山一也氏と高橋侑也氏による共著『事例で学ぶ MRのための不動産投資』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

事例で学ぶ MRのための不動産投資

大山 一也
高橋 侑也

幻冬舎メディアコンサルティング

MRの「将来の悩みや不安」は「不動産投資」が解決する! 「今の働き方をこれからもずっと続けていけるのか不安」 「家族のため将来に備えたいが、どこから手を付けたらいいか分からない」 「担当のドクターが投資に興味…

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