(画像はイメージです/PIXTA)

4人きょうだいのうち、妻に先立たれて子どももいないひとりが、かわいがっている姪にすべての財産を承継させたいと考えています。どのような方法を取ればスムーズに目的を果たせるのでしょうか。長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

遺言書より養子縁組のほうが、有利になるケースが多い

まず、相続人でない人に財産を取得させる方法としては、遺言書を書くということが考えられます。

 

相続人が子どもや両親、配偶者の場合には、相続人に遺留分があるので、遺言書を書いても、遺留分は相続人に渡さなければなりません。

 

しかし、兄弟姉妹が相続人である場合は、兄弟姉妹には遺留分がありません。

 

したがって、健二さんが花子さんに全財産を相続させるという遺言を書くと、健二さんの全財産は花子さんが取得できることとなります。

 

ただし、花子さんは、相続人ではないので、税金面で不利になる可能性があることから、税理士に相談する必要はあると思います。

 

次に、相続人でない人に財産を取得させる方法としては、養子縁組をして相続人にしてしまうということが考えられます。

 

健二さんと花子さんが養子縁組をすれば、花子さんが健二さんの子どもとなり、健二さんの相続人は子どもである花子さんだけとなり、兄弟姉妹は相続人にはなりません。

 

相続人は花子さんだけなので遺言書も要りません。

 

ただ、叔父と親子になるので、その点をどう考えるかということにはなります。

 

ちなみに、花子さんは叔父である健二さんと養子縁組をしたとしても、元々の親子である太一さんと陽子さんとの親子関係は変わりません。養親である健二さんが亡くなったときには健二さんの財産を相続することができますし、実親である太一さんと陽子さんが亡くなったときには、太一さんの財産も、陽子さんの財産も相続できることとなります。

 

花子さんが叔父の養子になれば、相続人となりますので、単に遺言で財産を引き継ぐよりは、税金面で有利になる可能性もあります

 

設問を検討すると、相続人でない人に対しても、遺言書を書いたり、養子縁組をしたりすることによって財産を引き継がせることはできるので、選択肢①は、相続人でない人には財産を引き継がせることができないとする点で、誤っています。

 

本問では、選択肢②、③の両方が正解となります。②と③のどちらを選択するかは、相続税等の税金や家族関係を考慮して決めることになるかと思います。

 

税法上や民法上は、養子縁組をした方が有利になる可能性が高いと思います。

 

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

高島 秀行
高島総合法律事務所
代表弁護士

 

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録