遺言書より養子縁組のほうが、有利になるケースが多い
まず、相続人でない人に財産を取得させる方法としては、遺言書を書くということが考えられます。
相続人が子どもや両親、配偶者の場合には、相続人に遺留分があるので、遺言書を書いても、遺留分は相続人に渡さなければなりません。
しかし、兄弟姉妹が相続人である場合は、兄弟姉妹には遺留分がありません。
したがって、健二さんが花子さんに全財産を相続させるという遺言を書くと、健二さんの全財産は花子さんが取得できることとなります。
ただし、花子さんは、相続人ではないので、税金面で不利になる可能性があることから、税理士に相談する必要はあると思います。
次に、相続人でない人に財産を取得させる方法としては、養子縁組をして相続人にしてしまうということが考えられます。
健二さんと花子さんが養子縁組をすれば、花子さんが健二さんの子どもとなり、健二さんの相続人は子どもである花子さんだけとなり、兄弟姉妹は相続人にはなりません。
相続人は花子さんだけなので遺言書も要りません。
ただ、叔父と親子になるので、その点をどう考えるかということにはなります。
ちなみに、花子さんは叔父である健二さんと養子縁組をしたとしても、元々の親子である太一さんと陽子さんとの親子関係は変わりません。養親である健二さんが亡くなったときには健二さんの財産を相続することができますし、実親である太一さんと陽子さんが亡くなったときには、太一さんの財産も、陽子さんの財産も相続できることとなります。
花子さんが叔父の養子になれば、相続人となりますので、単に遺言で財産を引き継ぐよりは、税金面で有利になる可能性もあります。
設問を検討すると、相続人でない人に対しても、遺言書を書いたり、養子縁組をしたりすることによって財産を引き継がせることはできるので、選択肢①は、相続人でない人には財産を引き継がせることができないとする点で、誤っています。
本問では、選択肢②、③の両方が正解となります。②と③のどちらを選択するかは、相続税等の税金や家族関係を考慮して決めることになるかと思います。
税法上や民法上は、養子縁組をした方が有利になる可能性が高いと思います。
※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。
高島 秀行
高島総合法律事務所
代表弁護士
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】