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「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」
■売却は「トータルで収益を増やすこと」が大事
不動産業界で20年以上走り続けている私の見解では、「不動産投資において、売却は不可欠なもの」です。そもそも不動産投資には「家賃収入によるインカムゲイン」「売却時の利益、キャピタルゲイン」と2つの利益があります。
単純に安く買って高く売れば利益になりますが、10年前に買った物件を10年後に値段を下げて売ったとしても、その間に得たインカムゲインを考えれば、タイトルの通り、トータルで収益がプラスになる場合もよくあるのです。
ですから、買ったときより高く売れることに越したことはありませんが、必ずしも高く売れなくても良いのです。
トータルで見て収益が増えていれば、充分に成功していると思います。一見、時間がかかりそうで地味に見えますが、これが最善の物件売却の考え方です。 こうした基本的な話を知らない方が結構多く、知識のない地主さんだけではなく、会社経営者さん、投資家さんなども間違った売り方をして失敗してしまうことがあります。
■間違った思い込みで高値売却を逃してしまった投資家さん
先日、私の元へ相談にいらした投資家さんは典型的な失敗パターンでした。
その投資家さんは、次のように思ったそうです。 「高値で売却するために、情報の周知が大事だ。いろいろな会社に依頼しなくてはいけない!」
そして数多くの不動産会社に声をかけました。広く宣伝しすぎてしまい、結果、「同じ物件がポータルサイトでずらっと並んでいる」というようになってしまったのです。
千葉県にある木造アパートで3000万円の価格だったのですが、「2800万円」「2500万円」など、指値をされてしまいました。
本来であれば、指値を想定して金額をある程度、高く設定してきます。例えば3000万円で売りたいのであれば、3180万円という価格で出すイメージです。
しかし、すでに他社さんで3000万円という価格で出ているため、当社だけ値上げするわけにはいきません。
そうこうしているうちに、半年以上が過ぎて、完全に売れ残り物件扱いされるようになってしまいました。
単純に同じ物件が長い間ずっと並んでいると、優良物件には思えません。仮に安かったとしても、「人気なさそうだな」「売れ残っているな」と思われてしまうのが普通です。
この場合、もっとスピーディに売却する方法はあるのに、まったく逆のことをしてしまっています。
人間の心理で言えば、インターネットにたくさん出ている情報よりも、「あなただけへの情報です」と、直接届くメールのほうが、物件として価値が高いように感じます。その結果、「足の速い物件=速く売れる人気物件」になるのです。
ネットに出ている物件、個別に送られてくる物件が同じ物件だったとしても、見え方が変わるのです。
ですから買主さんの間口を広げる複数の業者に依頼するのはいいのですが、情報がバラまかれないように気を付けるべきなのです。
本来、不動産会社が、ポータルサイトに広告を出すときは必ず「掲載していいですか?」と聞かなくてはなりません。
なぜなら、収益専門のポータルサイトでは、そのような取り決めになっているからです。許可をもらった物件情報しか掲載はできません。許可を得ずに掲載したらペナルティが課せられます。
免許証と同じで、点数が減っていくのです。それが一定の点数に達すると、出入り禁止になります。そのため、私たち不動産会社はすべて掲載許可を得ています。