ECB会合以降「ユーロ買い」進む…今後の展開は?【国際金融アナリストが考察】 (※画像はイメージです/PIXTA)

先週の為替市場の主役は、木曜日のECB(欧州中銀)会合を受けて一段高となったユーロでした。「ユーロ本位制」が続くなか、為替相場の行方を考える上で、最も注目されているのは「ユーロ相場」です。では、ユーロ高はさらに進むのでしょうか、それともユーロ安へ反転することになるのでしょうか。FX開始直後から第一線で活動している、マネックス証券・チーフFXコンサルタントが考察していきます。

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[ポイント]​

・先週木曜日のECB会合以降、ユーロは一段高となった。米ドル/円などの目先の行方を考える上でも、新たなユーロ高が始まったのか、要注目。

・テクニカルな焦点は、この間のレンジ上限、1.14米ドルからのユーロ「上放れ」が続くかどうか。そして、もうひとつは、ユーロ高の道先案内役である独金利上昇が続くかどうか。

ECB会合以降、ユーロ/米ドルは1.14米ドル超の一段高

ECBはこれまで、インフレ率上昇は一時的であり、間もなく落ち着くとの見解を繰り返してきたため、「2022年中の利上げの可能性は極めて低い」との姿勢が基本でした。

 

ところが、物価上昇が続くなかで、こういった姿勢の見直しに動き出した可能性が高まっています。このため、今回のECB会合を受けて、ECBの姿勢が積極的な緩和見直し、いわゆる「タカ派」に変わり始めた可能性があるとして、金利市場では2022年中に2回以上の利上げを織り込む動きが広がりました。

 

そして、それに伴いユーロ/米ドルも1.14米ドルを超える一段高となったのですが、こういったなかで興味深いポイントとして、米ドル/円が米ドル高・円安に動いたということが挙げられるでしょう(図表1、2参照)。

 

出所:マネックストレーダーFX
[図表1]ユーロ/米ドルの日足チャート(2021年11月~) 出所:マネックストレーダーFX

 

出所:マネックストレーダーFX
[図表2]米ドル/円の日足チャート(2021年11月~) 出所:マネックストレーダーFX

 

今回のようにユーロ高・米ドル安に大きく動いた場合、米ドル/円は「米ドル安」の影響により米ドル安・円高に動くケースが基本です。しかし、今回、上述のように米ドル高・円安となったのは、ユーロ高・円安に大きく動いた影響であると考えられます(図表3参照)。

 

要するに、この日の為替相場は、対米ドルだけでなく対円なども含めてユーロ全面高となり、多くの相場が対ユーロ相場の影響を大きく受ける結果となったのです。

 

出所:マネックストレーダーFX
[図表3]ユーロ/円の日足チャート(2021年11月~) 出所:マネックストレーダーFX

ECB会合後の為替相場は「ユーロ本位制」の展開に

ちなみにこの日、ECB会合の前に行われたBOE(イングランド銀行)の会合では、0.25%の利上げが決定されました。

 

また、より大幅な利上げを支持するメンバーも多く、英ポンドは「タカ派」の内容を受け、対米ドルでも大きく上昇したものの、ECB会合の後は上げ幅を急縮小するところとなりました。これは、対ユーロで英ポンドが急落した影響が大きかったと考えられます。

 

以上のように見ると、先週木曜日のECB会合後の為替相場は、ユーロを主役とした、「ユーロ本位制」の展開だったといえるのではないでしょうか。

 

「ユーロ本位制」が続く今、為替相場の行方を考える上で、最も注目されているのはユーロ相場の行方です。では、ユーロ高はさらに進むのでしょうか、それともユーロ安へ反転することになるのでしょうか。

ECB会合後「新たなユーロ高」が始まったのか?

ユーロ/米ドルは、昨年11月中旬から、基本的に1.12~1.14米ドル中心の小動きが長く続きました。

 

今回、ECB会合後のユーロ一段高で、そんなレンジを突破しましたが、これが、ECB金融政策の「タカ派」への転換などを受けた、新たなユーロ高の始まりとなるのでしょうか。

 

1.12~1.14米ドルのレンジ・ブレークは、今年に入ってからこれまでにも何度かありました(図表1参照)。長く続いた小動きが終了した後は、それまでとは打って変わって、当面一方向へ大きく動く可能性が高いのですが、今年に入ってからは、そんなレンジ・ブレークもあくまで一時的にとどまっています。

 

要するに、レンジ・ブレークは、結果として新たな一方向への動きを示すものではなく、チャート用語では「ダマシ」にとどまった形となったのです。

 

今回もそうであるなら、比較的早い段階で、1.14米ドルを割り込み、この間のレンジ内に戻ることになりますし、そうでないならば、1.14米ドルが基本的にサポートされながら、さらなるユーロ高に向かうでしょう。

 

これまで、「先週のECB会合を受けたユーロ高」と述べてきましたが、より正確にいうと、「ECB会合を受けた独金利上昇に連れたユーロ高」でしょう。

 

ECB会合が予想以上に「タカ派」だったとして独金利が大きく上昇し、独米金利差ユーロ劣位が急縮小したことに連れる形でユーロ急騰となったのです(図表4参照)。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表4]ユーロ/米ドルと独米金利差 (2021年6月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

そんな独金利、たとえば独10年債利回りは、つい最近まで長くマイナス圏での推移となっていたものの、ECB会合以降はプラス0.2%程度まで大きく上昇しました(図表5参照)。では「独金利上昇=ユーロ高」はさらに続くのでしょうか?

 

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表5]独10年債利回りの推移 (2021年1月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

ユーロの行方を握る…「独金利」と「米金利」の関係

ところで、独金利の上昇は、「タカ派」への転換が注目された先週のECB会合以前から始まっており、主にインフレ懸念を理由とした米金利の急上昇とかなりきれいに重なった動きだったのです(図表6参照)。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表6]米独の10年債利回り (2021年1月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

以上のように見ると、ユーロの行方を考える上でカギになりそうな独金利は、米金利の影響を大きく受けているようです。その米金利は、これまでに急ピッチで上昇してきた結果、全般的に短期的な「上がり過ぎ」懸念が強くなっています。

 

たとえば、米10年債利回りの90日MA(移動平均線)かい離率もプラス20%程度と、極端ではないものの、短期的に「上がり過ぎ」気味になっています(図表7参照)。こういったなかで、「独金利上昇=ユーロ高」が進むことは、考えづらいのではないでしょうか。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表7]米10年債利回りの90日MAかい離率 (2010年~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

 

吉田恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

 

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マネックス証券  チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長

大手の投資情報ベンダーの編集長、社長などを歴任し、国際金融に関する情報発信の分野で活躍。 機関投資家に対するアナリストレポートを通じた情報発信はもとより、近年は一般投資家および金融機関行員向けに、金融リテラシーの向上を図るべく、「解りやすく役に立つ」事をコンセプトに精力的に講演、教育活動を行なっている。 2011年からマネースクエアが主催する投資教育プロジェクト「マネースクエア アカデミア」の学長を務めた。 書籍執筆、テレビ出演、講演等の実績も多数。

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著者紹介

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