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景気対策の目的は、ほとんど「失業率の改善」である
景気が悪いときには政府日銀が「景気対策」をしますが、その目的は景気をよくするという抽象的なものよりも、失業者を減らすことが中心でしょう。「景気対策」と「失業対策」という言葉を、ほとんど同じ意味で使っている場合もあります。
「景気」という統計はありませんので、一般の人が景気の良し悪しを判断するために最初に見るのは「失業率」かもしれません。馴染みのある統計ですし、わかりやすいですから。
一般の人は「失業率を見て景気のイメージを掴む」という方法で構わないと思いますが、その際に「失業率は景気変動に遅れて動く」ということを頭の片隅に置いておいていただければ幸いです(そのため、景気の予想屋は失業率をあまり重視しないのですが)。
株価が景気の先行指標であり、失業率が景気の遅行指標ですから、失業率が下がりはじめる前に株価が大きく上昇して面食らうことがあるかもしれません(笑)。
失業率は、景気回復から少し遅れて下がっていく
景気が回復しはじめても、すぐには雇用が増えることはありません。不況期には会社のなかでヒマを持て余している労働者が大勢いるので、景気回復初期には売上が増えても、増産をするために労働者を雇う必要はないからです。
景気が回復を続けて労働者が忙しく働くようになっても、企業は新しく人を雇うより、労働者に残業させることを選ぶかもしれません。人を雇うと作業机等々を用意する必要があるかもしれませんし、ひとたび人を雇うと次の不況期に解雇が面倒だということもあるでしょうから。
景気がさらに拡大すると、企業は労働者を募集しはじめますが、それでも失業率はなかなか下がりません。それは、仕事探しを諦めていた人々が仕事を探しはじめるからです。
失業率の統計は「仕事をしたいけれども仕事が見つからない人」ではなく、「仕事を探したけれども見つからなかった人」を数えているので、不況期に仕事探しを諦めてしまった人は失業者ではないのです。
余談ですが、不況期にも高齢者や女性の失業率は上がりにくいのに、現役世代男性の失業率が上がりやすいのは、彼らが失業しても簡単には仕事探しを諦めないから失業者にカウントされる、という理由なのですね。
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