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会計のルールは自社に合ったもの
会計にはさまざまなルールがありますが、上場企業と中小企業では、求められるレベルが違います。
この違いを知らずに会計を学ぼうとすると、中小企業の経営には関係しない話が出てくるので、途端に難しくなります。
中小企業の実態に合わせた会計ルールとして、中小企業庁が公開している「中小会計要領」があります。ただし、対象となる会社は限られます。
●経理人員が少なく、高度な会計処理に対応できる十分な能力や会計体制がない
●会計情報を開示する範囲が、取引先、金融機関、同族株主、税務当局等に限定されている
●主に法人税法で定める処理を意識した会計処理が行われている場合が多い
おそらく、中小企業のほとんどがこれらの条件に該当するはずです。
対象にならないのは、金融証券取引法の規制を受けたり、監査人を設置したりするような上場会社です。
中小会計要領が生まれた背景には、日本の会計規準が国際会計基準(IFRS)へと統合される流れにあったなか、「そうした会計基準は中小企業の実態に合わないのではないか」という問題意識がありました。
そこで、「中小企業にとって本当に使いやすい会計とはなんなのか」というテーマのもと議論が重ねられ、中小会計要領が取りまとめられたのです。基本となった考えは、3点あります。
②利害関係者(金融機関、取引先、株主等)への情報提供に役立つ会計
③計算書類等の作成負担は最小限にとどめ、中小企業に重い負担を課さない会計
まとめると、中小企業にとって「使いやすく」「役立つ」ということを主眼に置いているということです。
そのため、上場企業に適用される「企業会計基準」と、中小企業をターゲットとする「中小企業会計要領」には、複数の相違点があります。
一つが、会社が保有する有価証券(市場価格のあるもの)の評価に関するルールです。
企業会計基準では時価で評価をする必要があり、株式の評価替えを行う手間がかかります。期末時点での株価を毎回調べて、差額を取得原価に加減しなくてはなりません。
一方、中小会計要領では、こうした有価証券であっても、原則として取得原価のままで構いません。100万円で買った株式は、基本的にずっと100万円のまま計上することができるので、会計業務は楽になります。
このように、中小会計要領には、会計を簡単にする工夫がいろいろと盛り込まれていますので、ぜひ一度目を通してみてください。中小企業庁のホームページで公開されています。
さらに、中小会計要領と似たものに、「中小企業の会計に関する指針」(中小会計指針)というものがあります。これは日本税理士連合会、日本公認会計士協会などの4団体により取りまとめられたもので、やはり中小企業に役立つ会計ルールが作られています。
中小会計指針には、中小会計要領にはない、「税効果会計」や「組織再編会計」のルールなど、より多くの項目が記載されています。中小会計要領と中小会計指針は、いずれも中小企業の会計に役立ちますが、まずは「要領」の内容を把握し、余裕があれば「指針」にも目を通しておくといいでしょう。
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