【後編】今、安易に家を建てると「資産価値激減」の可能性…これから日本の住宅が「快適になる」ワケ
「日本の家の断熱性能」今後数年で格段に向上するが…
前回までの連載では、「住宅の断熱性能に関する基礎知識」に加え、日本の住宅の断熱性能が他の先進国と比べ大幅に劣っている事実についてご説明してきました。
劣っている理由の一つには、制度面の対応が遅れていることが挙げられます。
我が国の住宅の断熱性能の基準である「省エネ基準」は、他国と比較して非常に緩い水準にあります。しかも、他国では基準への適合が義務付けられているのに対して、日本では義務化されていません。
とはいえここ最近、日本の住宅性能に関する法制度は方向転換の動きを見せています。
今後法制度が大きく変わり、数年後には、一般的な新築住宅の性能が大幅に向上すると予想されます。
つまり、今、現時点での基準をもとに家を建ててしまうと大変危険です。資産価値が数年で大きく下がってしまう可能性があるためです。
家の新築・改築を考えている方はぜひ、これからの国の動きを見据えて住まいづくりを進めてみてください。
さて、国の住宅政策の方向性転換のきっかけは、令和3年2月24日、内閣府により主催された「第5回 再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」、河野太郎規制改革担当相(当時)が出席された有識者会議でした(https://www.youtube.com/watch?
この会議は、のちに開催された「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会(国土交通省・経済産業省・環境省)」での議論にもつながっていきます。こちらの会議の内容はオンラインで生中継され、住宅業界ではかなり話題となりました。
そこで今回は、令和3年2月24日の会議で、非常に重要なプレゼンテーションをされた東京大学大学院の前真之准教授(動画では37:25~)に、前後編に分けてお話を伺っていきます。
前編では、これまで住宅分野が置かれてきた状況について掘り下げていきましょう。