今年の課題、長期の課題、そして、次にできること (※写真はイメージです/PIXTA)

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効率的なポートフォリオには「ハイ・イールド債券」

今年の「課題」は、金融市場の変動性であり、シンプルな「解決策」(ソリューション)は、ポートフォリオの予想変動性を落とすことでしょう。このとき、期待リターンを極力落とすことなく、リスクを減らすことができれば、なおよいでしょう。

 

そして、もうひとつ、「そもそも論」ですが、長期の視点で考えるとき、我々は、どの資産をポートフォリオに持っておくことが効率的なのでしょうか。言い換えれば、「一般的なポートフォリオにとっての長期的なソリューションはどの資産なのでしょうか」。

 

データが示唆するひとつの答えは「米国ハイ・イールド債券」です。

 

ところが実際には、日本の個人投資家はこのところ、米国ハイ・イールド債券を手放しているようであり、ポートフォリオの効率性は損なわれているように見えます。

米国ハイ・イールド債券がポートフォリオに与える影響

[図表1]は、米国大型成長株式100%のポートフォリオに、米国ハイ・イールド債券を10%ずつ足していくときの、ポートフォリオの「変動性」の変化を示しています。「米国大型成長株式」を使う理由は、世界中の投資家がそこに集中しており、議論をシンプルにするためです。

 

すると、米国ハイ・イールド債券を増やせば増やすほど、ポートフォリオの変動性が低下することがわかります。なぜなら、【一番左の棒】と【一番右の棒】を比べればわかるとおり、米国大型成長株式よりも米国ハイ・イールド債券のほうが、変動性が低いためです。
 

[図表1]米国大型成長株式100%のポートフォリオに、米国ハイ・イールド債券を10%ずつ足していくときのリスク(変動性)の変化
[図表1]米国大型成長株式100%のポートフォリオに、米国ハイ・イールド債券を10%ずつ足していくときのリスク(変動性)の変化

 

「まぁ、債券なので当然だよね」となるわけですが、話はそこで終わらず、むしろ、米国ハイ・イールド債券を入れていくほうが、ポートフォリオは効率的になります。

 

ポートフォリオの「情報レシオ」はどうなる?

[図表2]は、米国大型成長株式100%のポートフォリオに、米国ハイ・イールド債券を10%ずつ足していくときの、ポートフォリオの「情報レシオ」の変化を示しています。

 

(「情報レシオ」とは、異なる資産やポートフォリオの効率性を比較するための指標です。リターンが高く、リスク(=標準偏差)が低いものを探すため、リターンをリスクで割り、値が大きいものが、リスクあたり良好なパフォーマンスを出すと考えます。)

 

すると、米国ハイ・イールド債券を増やせば増やすほど、ポートフォリオの情報レシオが高まっていくことがわかります。なぜなら、【一番左の棒】と【一番右の棒】を比べればわかるとおり、米国大型成長株式よりも米国ハイ・イールド債券のほうが、そもそも情報レシオが高かったためです。

 

すなわち、米国ハイ・イールド債券に分散をしておけば、①現在の課題であるポートフォリオの変動性を減らせるとともに、②長期の課題であるポートフォリオの効率性も高められる可能性があることを示しています。

 

[図表2]米国大型成長株式100%のポートフォリオに、米国ハイ・イールド債券を10%ずつ足していくときの、情報レシオ(リターン/リスク)の変化
[図表2]米国大型成長株式100%のポートフォリオに、米国ハイ・イールド債券を10%ずつ足していくときの、情報レシオ(リターン/リスク)の変化

 

フィデリティ投信株式会社
マクロストラテジスト

大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了後、農林中央金庫にて、外国証券・外国為替・デリバティブ等の会計・決済業務および外国債券・デリバティブ等の投資・運用業務に従事。

その後、野村アセットマネジメントの東京・シンガポール両拠点において、グローバル債券の運用およびプロダクトマネジメントに従事。

アール・ビー・エス証券にて外国債券ストラテジストを務めた後、2013年にJ.P.モルガン・アセット・マネジメントに入社、2019年同社マネージング・ディレクターに就任。ストラテジストとして、個人投資家や販売会社、機関投資家向けに経済や金融市場の情報提供を担う。2020年8月、フィデリティ投信入社。

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著者紹介

連載フィデリティ投信のマクロストラテジストによる「マーケット情報」

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