(写真はイメージです/PIXTA)

本記事では、ニッセイ基礎研究所の篠原拓也氏が、OECDが2021年に公表した統計をもとに高度医療機器の各国の配備状況等について比較・解説します。※本記事は、ニッセイ基礎研究所の医療保険制度に関するレポートを転載したものです。

おわりに(私見)

以上、OECDのデータをもとに、画像診断用の高度医療機器の配備状況等を見ていった。日本は、CTやMRIの配備台数では、他国を圧倒している。ただし、これらの機器の検査での使用頻度は低い。背景として、クリニックなどに配備された機器があまり使われていないことが考えられる。機器の共同利用を通じて、有効に活用していくことが望ましいといえるだろう。

 

また、PET、ガンマカメラについては、アメリカやデンマークほどには配備されていない。これらの機器による機能検査を通じて、診断の精度が高まれば、より効果的な治療につなげることが可能となる。そのためにも、検査で体内に放射性物質を入れることの安全性について、患者等に説明していくことが必要となろう。

 

さらに、マンモグラフィについても、アメリカ、ギリシャ、韓国の後じんを拝する状況にある。現在、日本では、女性のがんのうち、もっとも多いのが乳がんとなっており、マンモグラフィは、その早期発見の切り札といえる。マンモグラフィを活用した乳がん検診の促進が求められよう。

 

これまで、日本は、診断用の高度医療機器の配備が進んでいる、とされてきた。ただし、直近の状況をみる限り、各国とも配備の充実により医療の質の向上を図っている。日本でも、高度医療機器の配備と検査での活用を通じて、診断精度を高める取り組みを進めていくことが求められる。

 

引き続き、医療機器の拡充や活用の状況について、見ていくこととしたい。

 

 

篠原 拓也

ニッセイ基礎研究所

 

 

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本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年1月25日に公開したレポートを転載したものです。

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