(写真はイメージです/PIXTA)

本記事では、ニッセイ基礎研究所の篠原拓也氏が、OECDが2021年に公表した統計をもとに高度医療機器の各国の配備状況等について比較・解説します。※本記事は、ニッセイ基礎研究所の医療保険制度に関するレポートを転載したものです。

 

日本はMRIの使用頻度も低い

 

つぎに、MRIの配備数を見てみよう。MRIはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像診断) の略だ。磁石と電磁波を使って、体内の様子を画像化する。MRIの配備でも、日本は、他国を大きく上回っている。アメリカやドイツなど先進主要国でも、配備を進めつつある。

 

[図表3]MRI台数(人口100万人当たり)
[図表3]MRI台数(人口100万人当たり)

 

続いて、MRIによる検査の状況を見てみよう。CTと同様に、日本は配備台数の多さに比べると、検査数はそれほど多くない。オーストリア、ドイツ、フランス、ノルウェーといったヨーロッパ諸国で、MRI検査がよく行われている。日本は、配備されたMRIの使用頻度も低い状況にある。

 

[図表4]]MRI検査数(人口1000人当たり)
[図表4]]MRI検査数(人口1000人当たり)

 

日本のPET配備は、CTやMRIほど進んでいない

 

さらに、PETの配備数を見ていこう。PETは、Positron Emission Tomography(陽電子放出断層撮影)の略だ。がん細胞が多くのブドウ糖を取り込む性質を利用したがん検査法で、放射性物質を体内に入れて検査を行う。

※ 放射性同位元素フッ素-18を含む、フルオロデオキシグルコース(FDG)。ブドウ糖に近い化学構造を持つ。

 

PET配備数で、日本は、デンマーク、アメリカにつぐ位置にある。身体に放射性物質を入れることの抵抗から、CTやMRIほどには配備が進んでいない可能性がある。

 

[図表5]PET台数(人口100万人当たり)
[図表5]PET台数(人口100万人当たり)

 

日本のガンマカメラの配備は、平均を少し上回る位置にとどまっている

 

続いて、ガンマカメラを見てみよう。PETと同様、放射性物質を体内に入れて、標的臓器への集積状況をカメラで画像化する。その配備数はアメリカが多い。日本は、33ヵ国平均を少し上回る位置にとどまっている。要因として、体内に放射性物質を入れることへの抵抗感が考えられる。
※ テクネチウム-99mなどの放射性同位元素。

 

[図表6]ガンマカメラ台数(人口100万人当たり)
[図表6]ガンマカメラ台数(人口100万人当たり)

 

日本のマンモグラフィの配備は、アメリカの半分ほど

 

さいごに、マンモグラフィの配備数を見てみよう。マンモグラフィ検査は、乳房専用のX線撮影装置による乳がん検査法として浸透している。配備数は、アメリカ、ギリシャ、韓国が多い。

 

日本は、これらの国の半分ほどで、ベルギー、ポルトガル、イタリアと同規模の配備となっている。乳がんの早期発見のために欠かせない医療機器であり、さらなる配備の充実が求められる。

 

[図表7]マンモグラフィ台数(人口100万人当たり)
[図表7]マンモグラフィ台数(人口100万人当たり)

 

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本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年1月25日に公開したレポートを転載したものです。

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