(写真はイメージです/PIXTA)

G7各国では金融引き締め政策が加速し、地政学上のリスクも要因の一つとして、株安が続いています。本記事では、ニッセイ基礎研究所の高山武士氏が世界各国の金融政策・市場動向を分析します。 ※本記事は、ニッセイ基礎研究所の世界各国の金融政策・市場動向に関するレポートを転載したものです。

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    概要:金融引き締めと地政学リスクで株安

    22年1月に各国で実施された金融政策および、株価・為替の動きは以下の通り。

    ※本稿では金融政策はG20について確認する。また、株価・為替についてはMSCI ACWIの指数を構成する48か国・地域について確認する。中国と記載した場合は中国本土を指し香港は除く。また、香港等の地域も含めて「国」と記載する。本文中の先進市場と新興市場の区分についてはMSCIの分類に基づく。

     

    [図表1]各国の金融政策
    [図表1]各国の金融政策

     

    【株価・対ドル為替レートの動き】

    ・株価は1月下旬に大きく下落した(図表2)。

    ・為替レートは多くの通貨が対ドルで下落(ドル高)となった(図表3)。

     

    [図表2]世界株価の動向/[図表3]対ドル為替レートの動向
    [図表2]世界株価の動向/[図表3]対ドル為替レートの動向

    金融政策:多くの国で金融引き締めの動きが継続

    まず、主要地域の金融政策を見ていく。

     

    G7主要国では、米国、日本、カナダで金融政策を決定する会合が開かれた。FRBは債券購入額のさらなる縮小を決定(600億→300億ドル/月、3月上旬には終了)するとともに、資産縮小の原則(Principles for Reducing the Size of the Federal Reserve's Balance Sheet)が承認、公表され、金融引き締めに向けた方針が示された※1。日本銀行やカナダ銀行は概ね現行政策の維持を決定したが、カナダはフォワードガイダンスでこれまで利上げの条件として明示されていた「経済の弛み」が解消されたとして、利上げが可能な環境となっていることを示唆する決定であった※2

    ※1 資産縮小は利上げ後に実施する、縮小の方法は主に償還の再投資額を調整することで実施する、保有資産の構成としては長期的に主に国債保有とする(信用リスクへの影響を最小限にする)、といった方針を承認した。

    ※2 日本銀行は、貸出増加を支援するための資金供給について1年間の延長を決めている。

     

    それ以外の国では、ポーランド、アルゼンチン、韓国、ハンガリー、南アフリカで政策金利の引き上げが決定された。

     

    ハンガリーは8会合連続、ポーランドは4会合連続、韓国と南アフリカは2会合連続での利上げであり、高インフレに対する中央銀行の引き締め姿勢が継続している※1。また、アルゼンチンは20年11月以来の利上げとなった。アルゼンチンではIMFと債務再編交渉中であり、IMFは高インフレに対応するため中央銀行に対して金融引き締めを求めていた。今回の利上げはIMFの要請に応じた形となる※2

    ※1 このほか、インドネシアでは利上げは実施されなかったが、預金準備率の段階的な引き上げを決定し、引き締めに動いている。

    ※2 その後、アルゼンチン政府とIMFは28日、445億ドル規模の債務再編で基本合意した。

     

    また、トルコでは昨年12月までエルドアン大統領の意向に沿って4会合連続で利下げをしてきたが、1月は政策金利の維持を決定した。

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    本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
    ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年2月1日に公開したレポートを転載したものです。

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