チームパフォーマンスを高める「チームへの愛着」とは
■「メンバーやチームそのものに関心をもち、よく知ること」が第一歩
チームへの愛着とは、チームやメンバーに対して感じている好意的感情や敬意の度合いです。
これは特にチーム力活用行動(メンバーの力を活かしてより良い仕事をするためのコミュニケーション)に影響を与えます。チームメンバーへの好意的感情や敬意があれば密にコミュニケーションを取るようになり、メンバーの力を活かすという行動につながりやすいからです。
チームへの愛着を高めるためにはまずメンバーやチームそのものに関心をもち、よく知ることです。メンバー同士、お互いのバックボーンや思いを理解するのです。
さらにチームが顧客や自社、あるいは世の中のためにどのように役に立っているかを認識することも有効です。そのためにはチームの成り立ちや歴史を知ったり、外部からの期待や評価を知ったりするということがポイントになってきます。
商品やサービスをPRするために顧客の声を集めたり、導入事例を取材したりすることがあります。これは自分たちが提供しているものの価値を客観的に伝えるという効果もありますが、実は自分たちの価値を再認識することにも役立っています。
顧客満足度調査などにも同じような効果があります。離れてみて、自分がいたチームの良さが分かったというのはよくある話です。「愛着をもて」と言っても無理なので、自分たちのチームの良さを客観視し、「愛着や誇りを感じられるようにする」のです。自分たちの良さは自分たちではなかなか分からないものなのです。
チームに愛称をつけたり、キャッチフレーズを作ったりすることも愛着を高めるうえでは効果的です。
チームパフォーマンスを高める「メンバー信頼」とは
■「上司=信頼される側、部下=信頼する側」という「対立的構図」にしない
メンバー信頼とは、メンバーに対する能力面・心理面の信頼の深さです。これは特にプロセス改善行動(仕事の進め方をより良くするための取り組み)に影響を与えます。
信頼は職務的信頼と情緒的信頼で構成されます。職務的信頼とは技能に対する信頼であり、情緒的信頼性とは人間性や人柄に対する信頼です。
技能面と人柄のどちらにも高い信頼があるということは、お互いを認め合っているということでもあります。そうした状態では切磋琢磨が生まれ、自分自身の行動をより良くしようと行動します。
重要なポイントは信頼する側とされる側という「対立的構図」にしないことです。一般に上司や先輩は信頼される側、部下や後輩は信頼する側という構図が生まれがちですが、これは対立の関係です。上司や先輩も部下や後輩を信頼し、部下や後輩も上司や先輩から信頼されるという双方向的な関係にするべきです。
そうなるためには立場や経験によらず、すべてのメンバーがほかのメンバーから信頼されるための努力をしなければなりません。そのうえで、一人ひとりがほかのメンバーの強みに目を向けたり、考えや思いを共有したりすることがポイントになってきます。
橋本 竜也
株式会社日本経営 取締役
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