認知症や病気、ケガなど、加齢とともに高まっていくさまざまな「老後リスク」……元気なうちからリスクに備えていなければ、本人はもちろん家族にも「過酷な現実」が待ち構えていると、のぞみ総合事務所の代表司法書士、岡信太郎氏はいいます。今回、脳梗塞の夫と欠かさずお見舞いにくる献身的な妻が、リスクに備えていなかったせいで迎えざるを得ない「最悪の」結末をみていきましょう。

急死の妻…遺された夫を待ち受ける「過酷すぎる」現実

山口さんは、親戚が部屋で亡くなっていたという事実を目の当たりにしてショックを受けています。部屋には、旅行先で撮ったと思われる2人の笑った写真が飾ってあり、それがかえって現実を重苦しくしています。

 

山崎さんの方も、同じです。まさかこういう事態になっているとは、思いもよりませんでした。山口さんから相談を受けた際も、「こういうことは、親族の方で対応してもらうことになっていますから……」伝えることしかできませんでした。

 

吉村さんのお世話をする奥さんは、もうこの世にはいません。果たして一体誰が病院代の支払いをしたらよいのでしょうか?

 

事情がどうであれ、誰かが支払いを行わなければならないことに変わりありません。支払いが滞れば滞るほど、病院代の滞納額は増える一方です。

 

山口さんは親戚というだけであって、連帯保証人になっているわけでもありません。繰り返しになりますが、寝たきりとなってしまった吉村さん本人に今後のことを確認することは不可能です。

 

奥さんがいない状態では、吉村さんの財産をどうやって把握したらよいのか判然としません。

 

夫婦共働きで倹約してきた吉村さん夫婦。普通に考えれば、財産がまったくないということは考えられません。どこかの銀行に、必ず口座を持っているはずです。年金も偶数月の15日に振込まれているでしょう。

 

ところが、何も分からない誰も手をつけられない、宙に浮いた状態となってしまったのです。

 

 

岡 信太郎

司法書士のぞみ総合事務所

代表司法書士

 

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本記事は、岡信太郎氏の著書『財産消滅~老後の過酷な現実と財産を守る10の対策~』(ポプラ社)から一部を抜粋し、再編集したものです。
※登場人物は全て架空の人物であり、守秘義務に反しないようにストーリーを展開しています。

財産消滅 老後の過酷な現実と財産を守る10の対策

財産消滅 老後の過酷な現実と財産を守る10の対策

岡 信太郎

ポプラ社

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