亡き養父に米国での結婚歴!?…50年没交渉の配偶者からの「遺留分請求」は有効か【司法書士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

子どものない父方の叔父と養子縁組をした男性。養父には婚姻歴がなく、相続人は自分ひとりだと思っていたところ、弁護士から「妻からの遺留分請求について」という書類が届きました。養父が米国に滞在していたのは50年以上も前のこと。果たしてこの請求は有効なのでしょうか。多数の相続問題の解決の実績を持つ司法書士の近藤崇氏が、実例をもとにわかりやすく解説します。

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養子縁組した養父の逝去で、米国の妻の存在が判明?

 相談内容 

 

横浜市在住の80代の父親が亡くなり、相続が発生しました。正確にいうと、この父親は養父であり、私の実父の弟、つまり叔父にあたります。養父は未婚で実子がないため、法定相続人は養子縁組をした私1人だと思われます。

 

ところが先日、突然弁護士から「妻からの遺留分請求について」と書かれた書面が届きました。

 

養父は若いころ米国に居住していたことがあり、どうやらそのときに結婚したようなのですが、50年以上も前に別居しており、結婚していたとはいえないのではないかと思います。また、養父の日本の戸籍にも、結婚に関する内容の記載はありませんでした。

 

このような請求は有効なのでしょうか?

外国籍の方が関係する婚姻は、日本以外の法律の縛りも

 回 答 

 

日本人同士が日本で結婚する場合は、日本の法律にのみに従います。しかし、外国籍の方が関係する結婚の場合は、すべて日本の法律だけというわけではありません。

 

外国籍の方が関係する結婚では、下記のようなパターンが考えられます。

 

①日本人と外国人が日本で結婚する

②日本人と外国人が外国で結婚する

③外国人同士が日本で結婚する

 

外国籍の方が関係する場合は、どちらの法律に基づくべきなのかという議論が発生します。

 

法務省HP:国際結婚,海外での出生等に関する戸籍Q&A (moj.go.jp)

 

詳細は上記の法務省のHPにもありますが、日本の国際法には「結婚の成立については各当事者の本国法による」とあります。よって、婚姻する男女それぞれの国籍の法律を使うという解釈ができるでしょう。

 

しかしながら、アメリカ、ロシア、中国などの法律では「婚姻挙行地の法律による」とあります。その点から、養父が米国にいた際に婚姻していたとするならば、米国法での婚姻が成立している可能性が高いといえます。

 

日本の役所に戸籍の届を出していなければ、おそらく養父の戸籍に反映されることもなかったのではないでしょうか。

 

他方、アメリカにおいては、日本のように双方の意思の合致のみで成立する協議離婚などは存在せず、すべての州で裁判所への離婚申請をする必要があるようです。アメリカでは、すべての州において、相手に落ち度(浮気や家庭内暴力など)がなくても離婚を請求できるため、このような制度があるのでしょう。

 

つまり、養父が生前、本件のような離婚の手続きを取っていない場合は、米国方式での婚姻関係は継続していたといわざるを得ず、遺留分請求についても、根拠あるものとなっている可能性が高いといえます。

 

 

近藤 崇
司法書士法人近藤事務所 代表司法書士

 

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司法書士法人近藤事務所 代表司法書士

司法書士法人近藤事務所ウェブサイト:http://www.yokohama-isan.com/
孤独死110番:http://www.yokohama-isan.com/kodokushi

横浜市出身。横浜国立大学経営学部卒業。平成26年横浜市で司法書士事務所開設。平成30年に司法書士法人近藤事務所に法人化。

取扱い業務は相続全般、ベンチャー企業の商業登記法務など。相続分野では「孤独死」や「独居死」などで、空き家となってしまう不動産の取扱いが年々増加している事から「孤独死110番」を開設し、相談にあたっている。

著者紹介

連載現場第一主義の司法書士がレクチャーする「相続まめ知識」

本記事は、司法書士法人 近藤事務所が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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