コロナ禍をどう過ごすか?ワクチン接種者の間でも対立
このような状況を見守りながら、多くの米国人のウイルスに対する考え方が変わってきています。
アトランティック誌のデレク・トンプソン氏の記事『なぜ「Vaxxed and Done」と言う米国人が増えているのか? ――新型コロナは常に米国人を分断してきた。オミクロン株の波でワクチン接種者さえも分断している』(※5)は、まさに私の周囲の状況と同じです。
トンプソン氏は、「患者数が多い! しかし病状はずっと軽い! というオミクロン株のデータの乱雑さは、『COVID羅生門』を深めています。地域によって状況が異なり、どのように生活していけばいいのか、それぞれ異なる結論に達しています」「これは、1年前にはパンデミックについて真剣に考えようと一致団結し、それを拒否する人たちに対して憤慨していた人々の間でも同じです」と指摘します。
*トンプソン氏の『COVID羅生門』は、人間のエゴイズムを追求した黒澤明監督の羅生門(1950)を引用しています(※6)。
トンプソン氏が「Vaxxed and Done(VAD):ワクチン接種して終わり」と呼ぶ人たちの言い分は次のようになります。
トンプソン氏は、「VADの数が増えている確かなデータとして、昨年末、多くの飛行機がキャンセルされても、2020年の同時期と比較して2倍の旅行者が飛行機を利用しました。これは、オミクロン株のために身を縮めている国の姿ではありません。ワクチン接種を終えた数百万人が、先に進むことを切望していることが垣間見られます」といいます。
一方、オミクロン株が猛威をふるう中、医療制度への負担、免疫力のない人や高齢者へのリスク、感染による長期的な合併症の不安などの理由から規制緩和に反対する「Vaxxed and Cautious:ワクチン接種したが慎重」の人もいます。
※5 https://www.theatlantic.com/ideas/archive/2022/01/covid-omicron-vaccination-rashomon/621199/
※6 https://www.criterion.com/films/307-rashomon