米国、コロナ感染者「1日100万人超」でも「規制緩和」を選ぶワケ【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

1月に入り、日本国内でも新型コロナウイルスの新規感染者が急増しています。東京では、20日頃には1日あたりの新規感染者数は1万人に及ぶという予測があり、すでに緊急事態宣言を検討する県も出てきています。一方、日本以上に感染者が爆増しているアメリカでは、むしろ「規制緩和」という真逆の動きが起こっています。一体なぜでしょうか? 米国在住の大西睦子医師が、アメリカの現状をレポートします。

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オミクロン株は「ワクチン接種済」でも感染するが…

■ワクチン接種済か未接種かで「感染後の経過」に大きな差

米疾病対策センター(CDC)のデータによると、2021年1月10日、全米で1日の新型コロナウイルス(以下新型コロナ)の新規感染者数は140万6,527人(※1)。これまで最高の感染者数を記録しました。7日間(2021年12月28日~2022年1月4日)の平均新規入院患者数は、1万6,458人で、1週間前に比べて60%の増加です(※2)

 

そのような中、2021年1月11日の米上院公聴会で、米感染症対策トップのアンソニー・ファウチ博士は、「オミクロン株は、ワクチン接種の有無にかかわらず『ほぼすべての人』に感染します」「ただし、ワクチン接種を受けた人は、例外はあるものの、それなりにうまくいく可能性が高い。入院や死亡を避けることができます」「ワクチン未接種者はワクチン接種者に比べて、死亡する確率が20倍、入院する確率が17倍、そして10倍も感染しやすい」と述べました。

 

さらにファウチ博士は、オミクロン株感染の急増について「まだワクチン接種を受けていない人は、深刻な矢面に立たされるでしょう」「ケースバイケースでそれほど深刻ではありませんが、感染者が非常に多い場合、その一部は…亡くなるでしょう」と言及しました。

 

また、オミクロン株は重症化率が低いということが示される中、2022年1月7日、ニューヨーク州キャシー・ホークル知事から、非常に興味深い発表がありました。

 

※1 https://covid.cdc.gov/covid-data-tracker/#trends_dailycases

※2 https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/covid-data/covidview/index.html

※3 https://www.washingtonpost.com/nation/2022/01/12/covid-omicron-variant-live-updates/

 

■「入院したコロナ患者」の中には「コロナ以外の問題で入院した人」も多数

知事の発表は、ニューヨーク州の病院で「新型コロナの治療のために来院した患者」と「他の理由で来院時、定期な検査で新型コロナ陽性だった患者」をはじめて特定しました(※4)

 

すると、1月6日のデータでは、同州の新型コロナに感染した入院患者の42%は、ケガや心臓発作など他の問題で入院し、定期な検査で陽性であったことがわかりました。

 

ただし、地域差があります。ニューヨーク市では入院の半分は、新型コロナの治療ために入院、残りの半分は他の理由で入院。一方、ニューヨーク州北部や中部では、79%が新型コロナの治療のための入院です。

 

ニューヨーク・プレスビテリアン病院のCEOスティーブン・コーウィン博士は、次のように現場の状況を説明します。

 

「私たち病院は、ニューヨーク州南部のほとんどの病院を代表しており、現在、約1,200件の症例があります。昨年のこの時期に比べて20%ほど増えていますが、ICUに入る症例や人工呼吸器を必要とする症例はかなり少ない。ご指摘のように、病院の症例の約50%が新型コロナのため入院し、50%が入院時、新型コロナが陽性でした。入院患者のうち、50%はワクチン未接種または一部接種で、50%は2回接種しています。

 

ブースター接種を受けた人が入院するのは、非常に、非常に稀です。子どもたちの入院はほとんどなく、ICUに入院する患者は、高齢で病弱な方が多く、主にワクチン未接種です」

 

※4 https://www.governor.ny.gov/news/video-audio-photos-rush-transcript-governor-hochul-updates-new-yorkers-states-progress-0

星槎グループ医療・教育未来創生研究所 ボストン支部 研究員 内科医師、医学博士

米国ボストン在住。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部付属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。08年から13年まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度授与。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員。

【主な著書】
『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)
『「カロリーゼロ」はかえって太る!』(講談社+α新書)
『健康でいたければ「それ」は食べるな』(朝日新聞出版)

著者紹介

医療と社会の間に生じる諸問題をガバナンスという視点から研究し、その成果を社会に発信していく特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」による学会。「官でない公」を体現する次世代の研究者の育成を目的とし、全国の医療従事者が会員として名を連ねている。

著者紹介

連載医療従事者が本音で語る「日本社会」の現状~GGO For Doctor

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