日本の住宅は、他の先進国と比べて「断熱・気密性能」がかなり低くなっています。冬の脱衣所が寒いのも、結露が発生しやすいのも、この性能の低さが原因です。家を建てる際には、「断熱性能」の高さを重視し、健康で快適な生活を実現したいもの。さらに、「高気密・高断熱住宅」では家事も楽になることが明らかになっています。なぜ楽になるのか、住まいるサポート株式会社代表取締役の高橋彰氏が解説していきます。
寒さの緩和だけでなく、「掃除も楽になる」
④ほこりが少なくなり掃除が楽
高気密・高断熱住宅は、ほこりが減るため、掃除も楽になります。これは意外に思う方も多いのではないでしょうか?
これにはいくつかの要因があります。第一に気密性能が高い家は、当然すきま風が減りますから、隙間から砂埃などが入ってこなくなります。
実際、当社がサポートして、築40年の自宅の「気密・断熱フルリノベーション」を行ったお客様の場合、小学校のすぐ向かいの立地なので、改修前は小学校からの砂埃が家の中に侵入してきていつも床がざらざらしていたそうですが、改修後にはそれがなくなったと喜んでいました。
また、現在の建築基準法では、24時間換気装置の設置が義務付けられています。高気密の家は、それがきちんと計画通りに機能しますが、低気密の住宅ではそうはいきません。排気ファンの近くの隙間から給気してしまいショートサーキットが起こるためです([図表3]参照)。
24時間換気装置が計画通りに機能すれば、家に取り入れる外気はフィルター等を通し、多くの粉じんが除去された空気になります。さらに、戸建住宅用の「電気集塵機」も出ています。そういった換気装置にこだわれば、家の中の空気をよりきれいに保つことも可能です。
ちなみに東京大学名誉教授の村上周三先生によると、体内に取り込まれる物質の中で、一番多いのが「室内の空気」だそうです。なんと57%に上ります。これは体積比ではなく、重量比です。
一番多そうな飲食物は、意外なことに、合わせてもわずか15%ほどです。家族の健康を考えると、室内の空気環境を整えることがとても重要だとわかります。
住まいるサポート株式会社 代表取締役
一般社団法人日本エネルギーパス協会 広報室長
神奈川県出身。東京大学修士課程(木造建築コース)修了、同大博士課程在学中。千葉大学工学部建築工学科卒。リクルートビル事業部、UG都市建築、三和総合研究所、日本ERIなどで都市計画コンサルティングや省エネ住宅に関する制度設計等に携わった後、2018年に「結露のない健康・快適な住まいづくり」のサポートを行っている住まいるサポート株式会社を起業。日本でトップクラスの性能を誇る工務店・ハウスメーカーを厳選して提携し、消費者に無料で紹介する「高性能な住まいの相談室」や、デザインと高性能を両立する設計を行う建築家のマッチングサービス等を提供。また、横浜市住宅政策課主催のセミナーや毎日新聞社主催のセミナー等、多数のセミナーに登壇、メディアへの出演など、高性能な住まいづくりに関する情報発信に積極的に取り組んでいる。住まいづくりを考えている方々への情報発信を通して、ひとりでも多くの方が、住宅の性能に関する基礎知識を持ち、他の先進国並みに「結露のない健康・快適な家」を普及させることを目標としている。主な著書に、「元気で賢い子どもが育つ! 病気にならない家」(クローバー出版)、「人生の質を向上させるデザイン性×高性能の住まい: 建築家と創る高気密・高断熱住宅」(ゴマブックス)など。
●高性能な住まいの相談室:https://sml-support.com/lp
●建築家と創る高気密・高断熱住宅:https://sml-support.com/archicon
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