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家の「断熱性能」基礎知識!判断基準となる「数値」
この連載の第1回から第3回で、住宅の断熱・気密性能の重要性について、導入部分の説明をしてきました。今後の連載では順を追って、より詳しく解説していきます。
今回のテーマは、「家を建てる前に“必ず知っておきたい”住宅の断熱性能の基礎知識」です。少しだけ、とっつきにくい言葉が出てくるかもしれません。しかし今の日本の住宅マーケットにおいて、後悔しない住まいづくりをしたいと思うのならば、最低限知っておきたい内容です。
住宅の断熱性能の基準は、建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)に基づく、省エネ基準により定められています。この基準では、住宅の断熱性能は「外皮平均熱貫流率UA値[W/㎡K]」という値で表されます。
熱貫流率U値[W/㎡K]というのは、室内側と室外側の温度差を1℃とした時、1㎡あたりで1時間の間にどれだけの熱量が通過するかを示すものです。熱貫流率の値が小さいほど、断熱性能が高いことになります。
UA値の「A」は、アベレージを意味します。床・壁・天井、そして窓や玄関等の開口部のU値の平均という意味です。つまり、その家の総合的な断熱性能を示す値ということです。
そして、床・壁・天井等の「断熱のライン」が綺麗に繋がっていることがとても重要です。「断熱ライン」でくるりと包まれる状態です。一部分でも断熱性能が低いところがあることは望ましくありません。
他に、Q値という言葉をご存じの方もいるかもしれません。
平成11年の省エネ基準までは、住宅の断熱性能はQ値で表されていました。UA値とQ値は、[図表1]に示すように、単位温度差あたりの総熱損失量を外皮表面積で割るのか、床面積で割るのか、という点で違っています。
工務店によっては、今でも住宅の断熱性能を説明する際に、Q値を使うことが少なからずあります。少しアップデートが遅れているように思えますが、日本の住宅業界の中では、必ずしも性能が劣る工務店ではないようです。そのため、工務店からQ値で説明があったとしてもそれほど気にしなくてよいでしょう。