看取りは「最期の瞬間に立ち会うことが、いちばん大事なことではない」と在宅医は語ります。大切なのは、その人と一緒に過ごしてきた時間のほうだといいます。在宅医が著書『「在宅死」という選択』(大和書房)で看取りの作法を解説します。
大切なのは一緒に過ごしてきた時間
■最期の瞬間に立ち会うことが、大事なわけじゃない
もちろんご家族側にも、この話で納得できる方とできない方がいらっしゃいます。
「あのとき、私が買い物に行かなければよかったのに……」とずっと気にしている方もいますし「ああ、そうか、あの人らしいね」と納得できる人もいます。それはその人の悲しみへの向き合い方ですから、無理に変える必要もないと思います。
ただ、お伝えしたいのは「最期の瞬間に立ち会うことが、いちばん大事なことではない」ということです。大切なのは、ご本人に関わってきた時間すべてであって、呼吸が止まるその最期の瞬間を見届けることではないはずです。
隣で一緒に寝ている間に息を引き取ることがあっても一緒に過ごしていたことには違いありません。「隣でお母さんが寝ていたから、お父さんも安心して逝けたんだね」と思います。
大切なのは、逝く瞬間よりも、一緒に過ごしてきた時間のほうです。
中村 明澄
在宅医療専門医
家庭医療専門医
緩和医療認定医
↓コチラも読まれています
ハーバード大学が運用で大成功!「オルタナティブ投資」は何が凄いのか
富裕層向け「J-ARC」新築RC造マンションが高い資産価値を維持する理由
業績絶好調のジャルコのJ.LENDINGに富裕層が注目する理由
コロナ禍で急拡大!トラックリース投資に経営者が注目する理由
「給料」が高い企業300社ランキング…コロナ禍でも伸びた会社、沈んだ会社
在宅医療専門医
家庭医療専門医
緩和医療認定医
2000年東京女子医科大学卒業。国立病院機構東京医療センター総合内科、筑波大学附属病院総合診療科を経て、2012年8月より千葉市の在宅医療を担う向日葵ホームクリニックを継承。2017年11月より千葉県八千代市に移転し「向日葵クリニック」として新規開業。訪問看護ステーション「向日葵ナースステーション」、緩和ケアの専門施設「メディカルホームKuKuRu」を併設。緩和ケア・終末期医療に力をいれ、年間100人以上の患者の方の看取りに携わっている。病院、特別支援学校、高齢者の福祉施設などで、ミュージカルの上演をしているNPO法人キャトル・リーフも理事長として運営。著書に『「在宅死」という選択 納得できる最期のために』(大和書房)がある。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載「在宅死」という選択で自分らしい生き方と逝き方を探る