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最期の瞬間はわかりますか?
■呼吸が止まったら連絡を
私たちに連絡をするタイミングは、呼吸が止まってからで大丈夫です。呼吸が止まったかどうかの確認はむずかしくありません。今まで動いていた口や胸の動きが止まるので、みなさん見守っているなかで、わかることが多いようです。
「呼吸が止まったかもしれない」とお電話をもらって行ってみると、まだ呼吸があったということもありましたが、それでも何も問題はありません。「呼吸が止まったみたい」と思ったときにお電話いただければ大丈夫です。
また、呼吸が止まる瞬間を必ずしも見ていなくてはいけないということもありません。一晩中起きて見守っている必要はなく、もし、夜中にひとりで静かに息を引き取った場合でも、翌朝ご家族が気づいたタイミングでお電話をいただくことで何も問題はありません。
■逝く瞬間は本人が選ぶ
科学的な根拠があるわけではないのですが、「亡くなる瞬間は、その人が選ぶ」という気がしています。私だけなく、同じような感覚をもっている医療者がほとんどではないかと思います。
息を引き取る瞬間に立ち会っていないと後悔してしまう、間に合わなかったと思う方がまだ多いのですが、どんなに張りつめて見守っていても、ふっとした瞬間に、ご本人が逝ってしまうことがあります。
実際、ベッドサイドでじっと見守っていたにもかかわらず、ご家族がさっとお風呂に入っている間や、トイレに行っている一瞬の隙に旅立たれてしまうこともありました。
たくさんの人が見守っているなかで、みんなが目を離した一瞬で亡くなる方もいますし、逆に1日に数回しか介護士が入らない方で、ちょうど介護士がいる時間に息を引き取るひとり暮らしの方もいます。
そういう状況をたくさん知ると、「どうやらご本人はみな、ご自分が逝きたいときに逝くようだ」という結論にいたります。最期を見てほしいと思う方は見てもらえる環境で亡くなるし、ひとりで旅立ちたい方はおひとりのときに逝くのです。
残される側にはどうしても悔いが残りがちですが、ご本人が選んだのですから、それでいいのです。だから夜中じゅう、呼吸しているかどうかをじっと見つめている必要もありません。ご家族が日々の暮らしをいつもどおりのペースでやっているほうが、ご本人も安心するのではないかと思っています。
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