「亡くなる瞬間は、本人が選んでいるという気がしています。」【在宅医が解説】

「亡くなる瞬間は、本人が選んでいるという気がしています。」【在宅医が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

看取りは「最期の瞬間に立ち会うことが、いちばん大事なことではない」と在宅医は語ります。大切なのは、その人と一緒に過ごしてきた時間のほうだといいます。在宅医が著書『「在宅死」という選択』(大和書房)で看取りの作法を解説します。

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    最期の瞬間はわかりますか?

    ■呼吸が止まったら連絡を

     

    私たちに連絡をするタイミングは、呼吸が止まってからで大丈夫です。呼吸が止まったかどうかの確認はむずかしくありません。今まで動いていた口や胸の動きが止まるので、みなさん見守っているなかで、わかることが多いようです。

     

    「呼吸が止まったかもしれない」とお電話をもらって行ってみると、まだ呼吸があったということもありましたが、それでも何も問題はありません。「呼吸が止まったみたい」と思ったときにお電話いただければ大丈夫です。

     

    また、呼吸が止まる瞬間を必ずしも見ていなくてはいけないということもありません。一晩中起きて見守っている必要はなく、もし、夜中にひとりで静かに息を引き取った場合でも、翌朝ご家族が気づいたタイミングでお電話をいただくことで何も問題はありません。

     

    ■逝く瞬間は本人が選ぶ

     

    科学的な根拠があるわけではないのですが、「亡くなる瞬間は、その人が選ぶ」という気がしています。私だけなく、同じような感覚をもっている医療者がほとんどではないかと思います。

     

    息を引き取る瞬間に立ち会っていないと後悔してしまう、間に合わなかったと思う方がまだ多いのですが、どんなに張りつめて見守っていても、ふっとした瞬間に、ご本人が逝ってしまうことがあります。

     

    実際、ベッドサイドでじっと見守っていたにもかかわらず、ご家族がさっとお風呂に入っている間や、トイレに行っている一瞬の隙に旅立たれてしまうこともありました。

     

    たくさんの人が見守っているなかで、みんなが目を離した一瞬で亡くなる方もいますし、逆に1日に数回しか介護士が入らない方で、ちょうど介護士がいる時間に息を引き取るひとり暮らしの方もいます。

     

    そういう状況をたくさん知ると、「どうやらご本人はみな、ご自分が逝きたいときに逝くようだ」という結論にいたります。最期を見てほしいと思う方は見てもらえる環境で亡くなるし、ひとりで旅立ちたい方はおひとりのときに逝くのです。

     

    残される側にはどうしても悔いが残りがちですが、ご本人が選んだのですから、それでいいのです。だから夜中じゅう、呼吸しているかどうかをじっと見つめている必要もありません。ご家族が日々の暮らしをいつもどおりのペースでやっているほうが、ご本人も安心するのではないかと思っています。

     

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    ※本連載は中村明澄氏の著書『「在宅死」という選択』(大和書房)より一部を抜粋し、再編集した原稿です。

    「在宅死」という選択~納得できる最期のために

    「在宅死」という選択~納得できる最期のために

    中村 明澄

    大和書房

    コロナ禍を経て、人と人とのつながり方や死生観について、あらためて考えを巡らせている方も多いでしょう。 実際、病院では面会がほとんどできないため、自宅療養を希望する人が増えているという。 本書は、在宅医が終末期の…

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