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老人ホーム選びの課題とは何か?
これから話すことは、現実の話ではなく理想の話です。私は、介護の話は終始一貫、建て前ではなく本音で話をしなければダメだと言っている一人です。そんな私が、唯一と言っていいほど、理想にこだわっている点があります。それが、「住宅型」「サ高住」の存在意義についてです。
「介護付き」は、文字通り要介護の高齢者にとって、介護サービスを付帯している老人ホームです。つまり、認知症で問題行動が目立ってきたら「介護付き老人ホーム」に入居するという理解でよいと思います。
それでは、住宅型老人ホームには、いったいどのような役割があるのでしょうか? 現実的な運営実態を説明すると、実は、「介護付き」とまったく変わらない運営をしているホームがたくさんあります。中には、介護付きでは面倒を見ることができないほどの、重度な高齢者を入居させている住宅型老人ホームもあります。
つまり、介護付きとは何ら変わりません。このような実態の中で、住宅型老人ホームは本当に必要なのでしょうか? 大いに疑問です。住宅型を運営している事業者の経営姿勢が問われている、と考えます。
ただし、そこには、ユーザー側の、高齢期の生活に対する低い意識も少なからず影響している、ということも付け加えておく必要があります。
多くの方々は、前に並べ立てたこれらの老人ホームを、全部同じ「老人ホーム」と認識し、理解しています。これが、老人ホーム選びの間違いの第一歩なのです。
たとえば、みなさんが病気やケガで医療機関を受診する時、どのような判断で受診をするのでしょうか? 「頭が痛い」という時に、整形外科を受診する人は、まずいないはずです。頭が痛ければ、まずは、内科を受診するはずです。これは常識です。
しかし、介護、特に老人ホーム選びになると、どういうわけか、一般にこの常識では判断しません。多くの方は、「料金」と「地域」で検索して決めてしまいます。