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賃貸人の資金難による立退き要求…認められるか
【賃貸アパートオーナーからの質問】
私は、相続で親からの遺言で賃貸アパート1棟(合計4部屋)を取得しました。
しかし、このアパートは既に築40年以上建っていて老朽化しており、改修するためには830万円が必要と言われています。また、アパートは借地上に建てたもので、借地契約の更新料650万円が未払いの状況でした。
また、私自身相続で、他の相続人に遺留分として約3300万円の支払をしなければならない状況で、相続税約100万円すら払えず、金銭的にとても困ってしまっていました。
そこで、借地権と併せてアパートを売却することとし、賃借人に対して立退を求めたのですが、4戸のうち、3戸は応じてくれたのですが、残り1戸については、賃借人が81歳で、引っ越せないと言われ立退きに応じてもらえません。
なお、立退料として月額賃料の2年分以上である170万円(月の賃料は7万5000円です)と引越し費用の支払を提示しています。
このような状況でも、立退きは認められないのでしょうか。
【説明】
賃貸人が建物の老朽化等を理由として賃借人に対して賃貸物件の明渡しを求めるというケースは多いです。
この場合、賃貸人側から、賃貸借契約の解約の申入れを行う必要があり、この解約の申入れを行うことにより、解約申入れ時から6ヶ月を経過すれば賃貸借契約は終了となります(借地借家法27条1項)。
しかし、賃貸人から解約の申入れをしたからといって当然に解約が認められるわけではなく、賃借人が解約を拒んだ場合には、解約の申入れに「太い正当事由おわり」がなければ、法律上の効力が生じません。
この「正当事由」があるかどうかは、借地借家法28条が
と規定している通り、賃貸人、賃借人それぞれの事情を比較考量して判断されます。
このなかでもっとも重要なのは
「建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情」です。
実務上は、賃貸人側からは建物の老朽化を理由とした建替えの必要性を正当な理由として主張する場合が多いですが、この理由のみで、賃借人の居住継続の必要性よりも上回ると判断されるケースは極めて少ないです。
本件は、東京地方裁判所平成26年5月14日判決の事例をモチーフにしたものですが、本件では、賃貸人側からは、建物老朽化に加え、賃貸人側の資金難を理由とした売却の必要性が主たる理由として主張されました。
この賃貸人側の必要性と、賃借人側の居住継続の必要性のどちらを重視すべきかが問題となったのが本件の事例です。
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