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業務・情報システム分析はDX化の観点で
自社経営資源分析の「業務・情報システム分析」の解説です。
会社の仕事は業務を通じて処理されますから、業務の生産性や効率性を高めることは重要です。そこで活躍するのが情報システムですが、一般的な日本的企業では、情報システム化がまだまだ遅れています。近年の情報システム化は、DXという言葉で表現される方向に進んでいます。
DXとは、Digital Transformationの略で、2004年にスェーデンのエリック・ストルターマン教授が提唱した概念で、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という少々抽象的な概念ですが、近年は、以下のようなポイントでDX化が進んでいます。
(1)クラウド活用で場所を問わない
DX化を皆さんも利用可能なAmazonを例に考えてみることにします。今やAmazonは、世界中で、家の中でも会社でも、自動車や電車の中でも使えます。それは、システムがクラウドと呼ばれる特定の場所を問わないところにあり、インターネットを通じて自由に使えるようになっているからです。Amazonは、一部例外を除き基本的に自社店舗を持ちません。クラウド上に仮想店舗があり、利用者はそこで商品を購入します。
さらにAmazonは、自社の製品・サービスをWebストアで売るだけでなく、AWSというサービスで、クラウド上にシステム構築するサービスも提供しています。AWS上に仕事で使うシステムを構築すれば、完全にリモートワークができるわけです。
(2)IoTでモノの情報を把握
IoTとは、Internet of Thingsの略で、モノにバーコードやICタグを付けて、場所や移動情報を捉えられるようになっています。このため、いつ頃商品を届けられるか、今どこにあるかが把握できるようになっています。
(3)AIで分析や付加価値を付ける
Amazonでは、膨大な顧客・購買データをAIで分析して、「この商品を買った人は、これも買っています」というようなお勧めをしてきます。取得・蓄積したデータを活用して、そのような付加価値や付加サービスを提供することもできるようになっています。
(4)モバイル活用でいつでも、どこでも使える
Amazonは、スマホなどのモバイル端末からでも注文することができます。電車の中で、ふと気づいた日用品の補充注文を行うこともできます。
(5)ペーパーレス・はんこレス
Amazonを利用するのに紙を必要としません。データ入力は、基本的に顧客が自分で行います。ですから、会社側で改めてデータ入力をする必要がありません。そして、入力されたデータは、システム間で連携され、配達される商品の伝票印刷まで繋がっています。また、返品も顧客が返品処理入力を行うため、Amazon側での作業はありません。
また、自分であることを認証するのに、デジタル認証を行いますから、はんこを必要としません。わざわざはんこを押すために出社する必要がないわけです。
このように皆さんも活用しているAmazonを例にとると、自社の業務・システムのDX化の課題が見えてきます。
Amazonを例にDXの切り口を見つける