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都内某所「駅近物件」の恐ろしいトラップ
東京都在住Aさん(40代男性)
所有物件:築3年アパート
大手IT企業で働くAさんは、都内に新築アパート(8戸)を購入して賃貸経営をスタートしました。購入価格は約8000万円、駅から徒歩10分の場所に建つ、鉄道沿線の物件です。不動産管理会社によると、近くにはスーパーやコンビニなどの商業施設と飲食店がそろっていて、購入の翌年にはエリアの再開発がはじまるとのことでした。
1部屋6万円の家賃を想定した場合、単純計算で表面利回りは7.2%。賃貸需要が高い「駅近物件」かつ、今後開発が進むエリアとなれば空室リスクも少ない――Aさんは、そう見込んで経営をはじめます。当初は読みどおり入居者もすぐに決まって、問題なく家賃収入を得られていましたが、契約更新のタイミングで入居者が次々に退去してしまいました。
不動産管理会社へのヒアリングによると、退去理由は「電車の音や振動が気になる」「最近隣に建ったマンションのせいで日当たりが悪くなった」など。家賃を5万円まで下げることで、ようやく次の入居者を見つけたものの、半年も空室期間ができてしまいました。
結局、当初想定していた7.2%という利回りは、約3年で5%まで低下。さらに家賃を下げたことで、毎月の手出しが発生してしまったのです。一時は売却も検討したものの、競合物件との差別化を図れず、買い手が見つかりません。Aさんは、安易に「駅近で空室リスクが少ない」と見込み物件を購入したことを後悔しています。
Aさんの物件は、収益物件の必須条件といわれている「駅から徒歩10分圏内」の好立地でした。しかも、築浅となれば、人気物件になり得る可能性は十分にあったはずです。では、どうして入居者が退去していってしまったのでしょうか。退去理由から、Aさんが投資に失敗した理由を探っていきましょう。