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コロナ禍で消費が落ち込むも、マインドは改善の兆し
2021年のリテール関連指標は、3月以降おおむね前年同月比プラスで推移していたものの、新型コロナウイルスの感染者激増や緊急事態宣言の延長などによって、8月・9月はマイナスに転じた。
しかし、宣言解除後の10月には外出機会が増えたことなどで回復の兆しがみられた。消費者マインドには、ワクチン接種の進展などによって改善の兆しがみられはじめている。
4-6月期の実質国内総生産(GDP)は対前期比0.5%増と、1-3月期の同0.7%減からプラスに転じた。GDPの半分以上を占める個人消費は同0.6%増と、2四半期ぶりに増加(図表1)。
持ち直しの動きがみられた一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響から4月には東京都などで3回目の緊急事態宣言が発出されたことが影響し、やや伸び悩む結果となった。
しかし7-9月期には、個人消費が同1.3%減となったことを主因にGDPは同0.9%減。緊急事態宣言による外出自粛の影響によって、消費は落ち込んだ。
10月の小売業販売額は、対前年同月比0.9%増(図表2)。緊急事態宣言が9月末に全面的に解除され、3カ月ぶりのプラスとなった。
10月の全国百貨店売上高も、同2.9%増と3カ月ぶりのプラス。高額品の売り上げが好調だったほか、気温低下で衣料品などの秋冬商材も好調に推移した。また、宣言解除で外出意欲が高まり、旅行用品や靴なども堅調だった。
一方、11月の消費者態度指数(二人以上の世帯、季節調整値)は、対前月比横ばいの39.2となった(図表3)。
コロナ禍前となる2020年2月の38.4を2か月連続で上回り、基調判断は「持ち直しの動きが続いている」。新型コロナウイルスの新規感染者が減少し、「雇用環境」や「収入の増え方」が改善。一方、「暮らし向き」と「耐久消費材の買い時判断」は下回った。
インバウンド需要は、ほぼ消失している。10月の訪日外客数は対前年同月比19.3%減の2.21万人となった。
2021年1月-10月の累計では対前年同期比94.7%減、2019年の同期間と比べると99.2%減となっている(図表4)。
年初より、日本の入国規制は最も厳しい「国境閉鎖」となっている。観光客の入国制限の解除には、一定の時間を要する可能性が高い。
11月に新型コロナの変異ウイルス「オミクロン型」が、アフリカ、欧州、アジアの一部で確認された。11月30日現在、感染力やワクチンの効果など依然として不明である。
しかし、もし日本政府が再び緊急事態宣言など行動制限を課すことになれば、消費活動の回復がさらに遅れるリスクがある。