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「未払費用」の活用で大きく節税
税法は「債務確定主義」。
どういうことかというと、費用の発生が確定した時点で計上するのが原則で、支払いが確定している経費は、未払いであっても損金になる。
つまり、あとで払う経費だったとしても、帳簿上は未払金や未払費用として経費計上することができる。
これは資金繰りを良くする方法の一つ。
未払金や未払費用は、計上した時点では現金を払っていない。現金を減らしていない状態で損金に算入できる。
この方法で、決算時に未払費用を経費にしておくことで、当期の利益を抑え、節税効果が見込める。節税できれば手元に現金が残りやすくなるから、資金繰りが良くなる。
【①給与】
例えば、給料。
毎月の給料を15日で締めている(16日から翌月の15日で計算している)としよう。この場合、決算月の16日から翌月15日までの給料は、期をまたいだ翌月の支給になる。
16日から月末までの給料は決算時には発生しているため、この分が未払になり、未払金として「今期」の経費にできる。
翌月には支給するため、支給総額が減るわけではない。しかし、決算のタイミングでは手元の現金は減っていない。
ここが大事。今期の利益を抑える効果もあるが、決算書上、現金を多く持っていることになる。融資を受ける場合、銀行などの金融機関は現金を多く持つ会社を好むため、印象が良くなる。
社員が多ければ多いほど未払金は増える。社員が多い会社や人件費の割合が大きい会社ほど、これは覚えておきたいテクニック。
【②クレジットカード】
カードで先払いした経費も未払費用になる。カードの引き落としは通常1カ月後くらいになるため、手元の現金を残した状態で未払費用として計上できる。
光熱費、通信費、広告宣伝費など、費用の発生よりも現金の引き落としがあとになるものは、だいたいこの方法で未払計上できる。翌月引き落とす社会保険料も未払計上できる。
【③税金】
税金はどうか。
法人税などは対象外だが、不動産取得税、自動車税、固定資産税、都市計画税などは、発生した年度の損金にできる。
通常、これらは納付した時に租税公課で処理する。
しかし、税額が確定していれば、決算時に未払いであっても未払費用として計上できる。今期中に発生した税金なら、債務確定主義の考え方に基づいて、今期の損金(未払金や未払費用)として計上できるわけ。
例えば、固定資産税。
固定資産税は、土地、建物、償却資産の3つに対して発生するもので、1月1日時点の所有者が納税する。納付は4回(4〜6月、9月、12月、翌年2月)で、1回目の納付時に税額の総額と各回の納税額が分かる。
ポイントは、税金は1月1日に発生していて、納付書が4月〜5月に届くという点。納付書の到着をもって税額が確定するため、決算時点で納付していなかったとしても未払金として計上できる。
5月決算の会社なら5月に固定資産税の納付書が届いた場合、6月、9月、12月、翌年2月の固定資産税が未払いだったとしても、まとめて5月の経費にできる。
脱ハンコで「紙の契約書」にかかるムダな印紙税を削減
これも資金繰りを良くするトレンドの一つ。
そもそもデジタル化は経営の効率化につながるため、人件費を含む経費の削減になり、浮いた分だけ資金繰りが良くなる。
そのなかでも脱ハンコは、簡単に言えば「紙の書類のやり取りをやめる」ということなので、紙の契約書などを作ったり、保存しておいたりするコストが抑えられる。
契約書をやり取りするために、ハンコを押した契約書を送ったり、ハンコを押して返信したりしてもらっている会社もあるが、そのための郵送代や封筒代もいらなくなる。
また、電子契約であれば収入印紙がいらない。つまり、PDFなどで作った契約書は印紙税の節約になる。
なぜ収入印紙がいらず、印紙税が非課税になるのか。
その理由は、印紙税が紙の書類を作成する時に掛かるものだから。電子契約書は書類の一種だが、紙ではないので印紙税が非課税になるわけ。
ちなみに、契約書を保存しておくためにプリントアウトしたとしても、その書類は課税対象にならない。
印紙税は契約書の原本に課せられるものであるため、電子上で契約が結ばれていれば、その書類のプリントアウトは原本ではなくコピーとみなされる(もちろん、契約前の契約書をプリントアウトし、ハンコを押して使う場合は印紙税が必要になるけどね)。
契約書のやり取りが多ければ多いほど、印紙税負担は大きくなる。慣例的に収入印紙をペタペタ貼っていてはいけない。時代はデジタル。世の中は脱ハンコ。トレンドを踏まえて不要な納税は減らそう。
菅原 由一
SMGグループ CEO
SMG菅原経営株式会社 代表取締役
SMG税理士事務所 代表税理士
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