在宅療養が最良の選択とは限らないことも
同じ病気でも、時期によって、病院で病気を治してもらうのか、自宅で病気と付き合っていくのかで異なります。たとえば脳梗塞の場合、発症してからすぐは、病院でしかできない治療やリハビリがあります。ある一定の期間が過ぎて状態が落ち着くと、病名は脳梗塞のままですが、自宅で病気と付き合っていく時期になります。
ですが、もしまた、再発するようなことがあったら、病院で治療することで改善する可能性があるため、すぐに病院受診をお勧めすることになります。
自宅で病気と付き合いながら暮らしている間に、病気と闘うことが必要な時期が出てくる可能性は常にあります。その時期を適切に見極め、病院受診のコーディネートをするのも在宅医療の大切な役割になります。
■自宅で最期を過ごすときには必要不可欠
がんの終末期だけでなく、老衰や他の病気でも終末期となった場合は、在宅医療を始めておくことをお勧めします。自宅で最期まで過ごすことを希望される方はもちろん必須ですが、終末期の患者さんで、最期は病院に行きたいと思っている方でも、いつそのときが訪れるかわかりません。
終末期の症状緩和や、状態変化に対して療養生活の相談もできるよう在宅療養支援診療所からの訪問診療と、24時間体制の訪問看護を開始しておくことをお勧めします。
ここでひとつ気をつけておきたいことがあります。ひとりで通院できない状態であれば誰もが在宅医療を受けることはできますが、「在宅医療を受けられる=在宅療養が継続できる」ではないということです。在宅医療を受けられても、その方の病状や介護するご家族の状況次第で、病気と付き合いながらの暮らしを継続できないこともあります。
介護保険サービスをめいっぱい上手に利用したとしても、暮らしを継続することがむずかしいことがあります。また、病状や介護環境によっては、在宅療養が最良の選択とも限りません。「在宅医療を受けながら自宅で生活できるか」については、患者さんご自身の希望と、介護する側の希望をよくすり合わせたうえで、無理のない選択をしていくことが大切だと思います。
中村 明澄
在宅医療専門医
家庭医療専門医
緩和医療認定医
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